2025年、生成AI支出が前年比76%増の6440億ドルに ガートナーが予測する未来のテクノロジー市場

2025年3月31日、米調査会社ガートナーは、2025年に世界の生成AI関連支出が前年比76.4%増の6438億6000万ドルに達するとの予測を発表した。
生成AIの普及が消費者向け製品や企業のIT戦略に急速な変化をもたらす中で、ハードウェアを中心とした市場拡大が進行している。
消費者製品が牽引する生成AI支出の急増と、その背景にある構造変化
ガートナーによれば、2025年における生成AI関連の支出は前年から76.4%も増加し、6438億6000万ドルという規模に拡大する見込みであるという。
この驚異的な成長の主な要因は、AI対応ハードウェアへの投資の大幅な増加にある。
支出全体のうち、約8割がサーバーやスマートフォン、パソコンなどのAIを搭載した物理的なデバイスに向けられるとされている。
背景には、ChatGPTをはじめとする生成AIツールの浸透がある。
生成AIを用いたツールは、文章生成や画像生成、音声合成といった用途に本格的に活用されており、個人ユーザーだけでなく企業の業務効率化や新サービスの創出にも寄与してきた。
特に、一般消費者が手にするスマートフォンやパソコンがAI対応製品へとシフトしていく流れが、支出の押し上げ要因となっている。
ガートナーのアナリスト、ジョン・デイヴィッド・ラブロック氏は「2028年までに、消費者向けのデバイス市場はほぼすべてAI対応製品に置き換わる」と述べており、こうした見通しがハードウェアベンダーによる先行投資を加速させていると考えられる。
企業の選択と生成AIの“再評価”
生成AIの急速な広がりは、単なるブームではなく、企業にとっても構造的な意思決定を迫る契機となっている。
2024年に数多くの企業が開始した生成AIプロジェクトは、2025年に再検証の段階を迎えるとガートナーは分析している。
これまで検証段階だった取り組みが、実際のビジネス価値を問われるフェーズに入るというわけだ。
企業にとっては、生成AIを活用した業務自動化やクリエイティブプロセスの変革が進み、新たな価値創出の道が開かれる。
一方で、AI対応デバイスへの需要が過度に集中することで、半導体など特定の資源の争奪が激化し、価格の高騰や供給不安定化を招く可能性がある。
生成AI支出の拡大は今後も続く見込みだが、特定資源の争奪や一定の企業への情報の偏りなどの課題をクリアできるかどうかが、今後の市場の持続可能性を大きく左右するだろう。