セイコーソリューションズ、生成AIを活用した新ソリューション「Seiko Futureworks」を発表

2024年4月2日、セイコーソリューションズ株式会社は、生成AIを活用した新ソリューション「Seiko Futureworks」を発表した。本ソリューションは、システム開発における要件定義書などの高度なドキュメントレビューを支援し、開発効率の向上と手戻りの削減を実現することを目的としている。

専門知識を活用したAI対話と新たなインターフェイス

「Seiko Futureworks」は、複数のAI人格と対話することで専門家の視点を取り入れたドキュメントレビューを可能にする。従来の自動チェックツールとは異なり、ユーザーが複数の知的エージェントと同時にやり取りできる新しいUI（ユーザーインターフェース）を採用している。
この仕組みにより、異なる専門分野の知識を統合的に活用し、ドキュメントの品質を向上させる。

また、企業独自の業務ルールやドメイン知識を整理・管理した知識ベースを構築し、AIがこれを参照することで、企業ごとのニーズに応じた応答を提供する。
これにより、属人的な判断に依存せず、より精度の高いレビューが実現する。

さらに、「AI Interviewer」機能を搭載しており、ユーザーの回答に応じて質問を深掘りし、有識者の価値観や判断基準を明確に引き出すことができる。
この機能により、経験豊富な担当者の知見を形式知化し、ナレッジの継承を支援する役割を果たす。

本ソリューションでは、ゼロトラスト（※）のアプローチを採用し、ユーザー属性や質問内容に応じたリアルタイムな知識アクセス権制御を実現している。
これにより、機密性の高い情報の保護を強化しながら、実用性とコンプライアンスの両立を図っている。

※ゼロトラスト：従来の「内と外」の境界を前提とせず、すべてのアクセスを検証しながら許可するセキュリティモデル。

今後の展望

「Seiko Futureworks」が提示するAI活用の方向性は、システム開発における業務の革新につながる可能性を秘めている。今後は、同様のアプローチが他業界にも応用され、ドキュメントレビューや意思決定支援といった知的作業領域でのAI導入が加速していくと考えられる。

特に日本のIT現場では、レビュー業務に過剰なマンパワーが割かれている実情があり、自動化への期待は大きい。属人化からの脱却という点でも、「AIによるレビューの標準化」というニーズは今後一層高まっていくだろう。

ただし、AIのレビュー結果をそのまま鵜呑みにせず、人間の最終確認をどう組み合わせるかという「AIと人間の役割分担」のデザインが鍵となる。企業ごとの導入成熟度や文化によって効果の差が出る点も留意が必要だ。

また、知識ベースの構築と保守にかかるコストや労力をどう最適化するか、今後の普及に向けた課題となるはずだ。業界横断でのナレッジ共有が進めば、導入ハードルは徐々に下がると見られる。

総じて、「Seiko Futureworks」は、AIと人間の知見を融合する先進的な試みとして注目される存在だが、社会実装の成否は、運用体制と人材育成にかかっていると言える。