エリック・トランプ氏、仮想通貨事業参入のきっかけは「不当な銀行口座閉鎖」

2025年4月1日、米国のエリック・トランプ氏が仮想通貨事業に参入した背景として、銀行による一方的な口座閉鎖が大きなきっかけだったことが、FOXビジネスのインタビューで判明した。
政治的背景がもたらした金融排除への対抗として、彼は仮想通貨の価値に目覚めたという。

銀行口座閉鎖がもたらした「金融への不信感」と仮想通貨への傾倒

エリック・トランプ氏は、父親ドナルド・トランプ氏の政治的な動機を理由に、複数の銀行から口座閉鎖を通告されたと語っている。
具体的には、キャピタル・ワンやチェース銀行が法人・個人を問わず一族の口座を解約し始めたという。
この対応について、エリック氏は「政治的な動機に基づいた合法的な嫌がらせだ」と強く批判した。なお、キャピタル・ワンはこの主張に反論している。

彼は、銀行口座がビジネス運営の中核を担っているにもかかわらず、政治的立場を理由に金融機関から排除される現実を経験した。
このような圧力が、中央集権型の金融システムへの根本的な不信感を生むに至ったと述べている。

こうした状況下で注目したのが仮想通貨、とりわけビットコインである。
エリック氏は、仮想通貨が「より安く、より速く、透明性があり、外的な干渉を受けにくい」資産運用手段であると評価し、銀行口座を閉鎖されるリスクがない点に大きな意義を見出した。
エリック氏は、ブロックチェーン技術が今後10年で金融システム全体を抜本的に変えると語っている。
取引の透明性、分散管理、改ざん困難といった特性は、既存の銀行システムにはない信頼性をもたらすという認識だ。

ブロックチェーンによる金融革新と、仮想通貨規制の今後

エリック氏は現在、仮想通貨関連の事業に積極的に取り組んでおり、仮想通貨ベンチャーに数多く関与している。
トランプ一家が支援するワールド・リバティ・ファイナンシャル（WLFI）は、3月25日に独自のステーブルコイン「USD1」を発行することを発表した。

彼が独自トークンの発行やブロックチェーン基盤の開発を進めるとすれば、それは単なる政治的アピールではなく、本格的な「Web3時代の金融インフラ構築」を志向していると見なされるだろう。

ただし、仮想通貨が真に「自由な金融」の手段となり得るかどうかは、今後の社会的受容と制度整備の進展にかかっているだろう。
政治的圧力からの脱却を目的とした選択肢が、次第に「万人にとっての利便性」として昇華されるかが、カギを握ることになりそうだ。