バイビット、NFTマーケットプレイスを4月8日に閉鎖へ 取引量減少とサービス効率化が背景

暗号資産取引所バイビット(Bybit)は2025年4月1日、NFTマーケットプレイスを4月8日16時(UTC)に閉鎖すると発表した。取引量の大幅な減少と、サービス効率化を進める戦略の一環とされている。NFT市場全体の動向も、この動きを後押ししているとみられる。
取引量減少と効率化の波がNFTプラットフォーム閉鎖を加速
今回の発表によると、バイビットはNFTマーケットプレイスの運営から撤退すると同時に、インスクリプション・マーケットプレイスと分散型取引所のイニシャル DEX オファリングも終了するとした。
近年のNFT市場は、明らかに縮小傾向にある。1日あたりの取引高は、1年前には1,800万ドルを超えていたが、直近では534万ドルにまで落ち込んでいる。この約70%の減少は、単なる一時的なものとは考え難いだろう。
また、2024年12月17日に記録した1億1,360万ドル超という過去のピークと比べれば、その落ち込みは実に95%以上に達する。
こうした動きにより、多くのNFT関連サービスが見直しを迫られていると考えられる。今週に入って、大手NFTマーケットプレイスのひとつであるX2Y2も、同様の決定を発表したばかりだ。
バイビットも例外ではなく、プラットフォームの合理化と集中投資を優先する戦略を選んだと考えられる。
今後の展望
短期的には、NFT市場の縮小傾向が続くと考えられる。
取引高の推移からもわかるように、2024年末以降は顕著な落ち込みが続いており、投機的な熱狂が収束した状態だ。今後も同様の撤退・縮小が他の企業から発表される可能性は高い。
ただし、長期的な視点では、NFT技術そのものが消えるわけではないだろう。
アートやゲーム、デジタルID、チケット管理など、より実用性の高いユースケースへの進化が進めば、再び注目を集める局面が訪れる可能性は残されている。特に、イーサリアムをはじめとするブロックチェーンのスケーラビリティが向上し、手数料や操作性の課題が解消された場合、新たな形でのリバイバルもあり得る。
バイビットの撤退はその前段階としての「淘汰」や「再定義」と見るべきであり、NFTが真に価値ある技術として社会に定着するまでの過渡期に過ぎないのかもしれない。
今後の焦点は、「何に使えるのか」という実用価値の提示と、それを支える持続可能なエコシステムの再構築になるだろう。