三井住友FG、アバランチと共同でステーブルコイン開発へ

2025年4月1日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が、米Ava Labsらと共同でステーブルコインの開発に着手したことが発表された。
日本国内での実証実験は2025年度下期に予定されており、2026年度の発行を見据えた取り組みとなる。背景には企業間決済の効率化と、Web3時代に対応した金融インフラの構築ニーズがある。
金融大手とブロックチェーン技術者の連携がもたらす新たな決済基盤
このプロジェクトは企業間取引のデジタル化を加速するだけでなく、ブロックチェーン技術の社会実装に向けた大きな一歩となる可能性がある。加えてFireblocksやTISといった先進企業も本プロジェクトに参画していることが、実現性の高さを裏付けている。
Fireblocksは世界中の金融機関や仮想通貨取引所に対し、安全な資産管理ソリューションを提供してきた実績がある。TISは国内大手のシステムインテグレーターとして、複雑なインフラ設計と安定運用を担うとみられる。Ava Labsはアバランチの開発元として知られ、高速処理と拡張性を兼ね備えたチェーン設計を武器に、多数の企業ブロックチェーンプロジェクトを支援してきた。
とりわけ注目すべきはアバランチの「サブネット」機能だ。
これは個別のユースケースに特化したブロックチェーンを構築できる設計であり、企業ごとの要件に合わせた柔軟な決済環境を構築可能にする。三井住友FGはこの技術基盤を活用し、従来の銀行インフラでは対応しきれなかった新興のWeb3経済圏に切り込もうとしていると推測される。
国内法整備と実証実験が進む中、2026年の発行が示す業界の未来とは
日本では近年ステーブルコインに関する制度整備が進んでおり、2023年には改正資金決済法が施行された。この法改正により、発行体に一定のルールが課されることで、信頼性の高いステーブルコインの流通が可能となった。
SBI VCトレードが米ドル連動型の「USDC」の取り扱いを開始したことも、国内市場が着実に成熟しつつあることを示している。
そうした中で、三井住友FGの動きは既存の金融機関が積極的にWeb3領域に参入し始めた象徴的な事例であるといえる。
本ステーブルコイン実証実験は2025年度下期に実施される予定であり、技術的・制度的な課題を洗い出す機会となるだろう。順調に進めば、2026年度には本格的なステーブルコイン発行が実現する可能性が高い。
本件が示唆するのは、単なる決済手段の多様化ではない。
企業間決済においてより迅速でコスト効率の高い仕組みが求められる中で、信頼性と流動性を備えたステーブルコインが新たな基盤になることは、もはや時間の問題かもしれない。
特に、国内外の事業者が連携するプロジェクトは規模と実現性の面で注目度が高く、今後の発展次第では国際的な商取引の中核を担う存在に成長する可能性もあるだろう。