オプテージ、「Wi-Fiセンシング」の家庭用防犯サービスを提供 Wi-Fiの電波が“目”になる

株式会社オプテージは2025年4月1日、Wi-Fiの反射波を活用して不審者を検出する「Wi-Fiセンシング」技術を、家庭向け防犯サービス「MAMOLEO ライトプラン」として提供開始した。センサーやカメラを設置せずに、既存のWi-Fiインフラのみで異常を察知できるという仕組みである。
“見えない目”が住まいを守る カメラレス防犯の新潮流としてのWi-Fiセンシング
Wi-Fiセンシングとは、家庭に設置されたWi-Fiルーターから発せられる電波の反射波をリアルタイムで解析することで、人の動きや異常な挙動を感知する技術である。
オプテージが今回リリースした防犯サービスでは、このセンシング技術を用いて、特別な機器の設置なく不審者の存在を検出できる点が特徴だ。
この技術の中核にあるのは、Wi-Fi電波が壁や人に当たって反射する性質である。
人が部屋を移動することで電波の反射パターンが変化し、それを解析することで「通常とは異なる動き」が検出される仕組みだ。
例えば留守中に屋内で異常な動きがあった場合、その情報はスマートフォンに即座に通知される。ユーザーはリアルタイムで状況を把握し、必要に応じて通報や対応が可能となる。
既存のインフラを活用するため、導入にあたって高価な設備投資は不要である。
さらに、カメラのように映像情報を扱わないため、家族のプライバシーを侵害する心配も少ない。
オプテージは関西電力グループの通信事業者であり、これまで関西地域を中心に光回線やモバイル通信を展開してきた。近年ではIoTやAIを活用したスマートホーム関連事業にも注力しており、今回のWi-Fiセンシングはその成果のひとつと位置付けられる。
防犯意識の変化が後押しする新技術 今後の進化に注目
パンデミック以降、在宅時間の増加や一人暮らしの高齢者の増加などを背景に、家庭内のセキュリティ意識はかつてないほど高まっている。
防犯カメラや侵入アラームといった従来の対策に加え、より簡便でかつプライバシー配慮型のシステムが求められる中、Wi-Fiセンシングはそのギャップを埋める存在として市場での存在感を強めるだろう。
利用者にとっては「外出中の安心感が増す」「通知が即時に届くことで無駄な心配が減る」といった利便性が想定される。また、導入の敷居が低く、日常的に使い続けやすい点も、ユーザー満足度に寄与すると考えられる。
一方で検出精度や誤検知のリスク、集合住宅における電波干渉といった課題も残ると考えられ、今後の改善が期待される部分でもある。
将来的には、Wi-Fiセンシングを単なる防犯機能にとどめず、見守りサービスや在宅医療との連携、さらには住宅設計への統合といった方向へ進化させる可能性も考えられる。実現すれば、スマートホームの次なるスタンダードとなるだろう。