監視カメラと連動するAI警備員、Hakimoが1050万ドルの資金調達を実施

2025年3月27日、米国のAIスタートアップHakimo(ハキモ)が、シリーズAラウンドで1,050万ドルの資金調達を発表した。
同社は監視カメラと連携するAI警備員「AI Operator」を開発しており、物理的なセキュリティの強化を目指している。
HakimoのAI技術と資金調達の背景
Hakimoは2020年にスタンフォード大学のAI研究者、サム・ジョセフ氏とサガー・ホンヌンガー氏によって設立された。
同社の主力製品である「AI Operator」は、既存の監視カメラやセンサーと連携し、リアルタイムで脅威を検知・対応する自律型セキュリティエージェントだ。このシステムはコンピュータビジョンと生成AIを組み合わせ、言語で記述可能なあらゆる異常行動を検出する能力を持つ。
脅威を検知すると即座に音声警告を発し、必要に応じて人間のオペレーターに引き継ぐ多層的な対応が可能となっている。この技術により、警備員の常時配置が難しい場所でも、広範囲な監視と迅速な対応が実現される。
Hakimoの価格は、ソフトウェアが監視するカメラの台数に連動しており、サービスコストは人間の警備員の10分の1程度だという。
今回のシリーズA資金調達は、Vertex VenturesとZigg Capitalが主導し、RXR Arden Digital Venturesや既存投資家のDefy.vc、Gokul Rajaram氏も参加した。これにより、Hakimoの累計調達額は2,050万ドルに達した。
今後の展望
Hakimoの「AI Operator」は、複数の業界で導入が進んでおり、集合住宅、カーディーラー、建設現場など、100社以上が同社のソフトウェアを活用している。
物理的なセキュリティ業界は、人手不足や誤報の増加といった課題に直面しているのが現状だ。この状況下で、HakimoのAI技術が、これらの問題を解決する有力な手段として注目を集めている。同社の技術は、従来の警備員配置やアラーム監視に比べ、コスト効率と効果的なセキュリティ対策を提供しているといえる。
Hakimoの目覚ましい成長は、AIが物理的なセキュリティ分野で主要な役割を果たす時代の到来を如実に示唆している。この傾向は、セキュリティ業界全体の変革を予感させるものであり、今後の展開が大いに注目される。
また、同様のAI技術を活用したセキュリティソリューションは、今後さらに多くの企業で導入が進むと予想される。
AIの導入により、脅威の検出や分析、防御策の自動化が可能となり、組織のセキュリティ対策が強化されるだろう。たとえば、AIは大量のデータを迅速に分析し、異常なパターンを特定する能力を持つため、従来の手法では発見が難しい潜在的な攻撃の早期検知が可能となる可能性が高い。
一方で、AIを活用したセキュリティ対策には、新たな課題も存在する。
AI技術の過信による業務ミスの発生や、AI人材の不足などがあげられる。これらのリスクを軽減するためには、AIに精通した人材の育成や、AIシステムの適切な運用が不可欠だといえる。