へデラ開発のハッシュグラフ、企業向けプライベートネットワーク「HashSphere」を発表

2025年3月31日、暗号資産ヘデラの開発企業であるハッシュグラフが、新たな企業向けプライベートネットワーク「HashSphere」を発表した。
ヘデラブロックチェーンの技術を基盤とし、企業の規制遵守やデータ管理の強化を目的に開発されたものである。
現在ベータ版が提供されており、2025年第3四半期に正式ローンチが予定されている。

HashSphereの特徴と技術的背景

HashSphereは、企業が安全かつプライバシーを確保した形でブロックチェーン技術を活用できるように設計された許可型ネットワークである。特に金融機関やフィンテック企業、決済プロバイダーなどが主な利用対象とされている。

このネットワークは、ヘデラブロックチェーンの技術を基盤とし、拡張性とセキュリティの強化が図られている。ヘデラは独自の合意形成アルゴリズムであるハッシュグラフ（※）を採用し、従来のブロックチェーンよりも高速かつ低コストなトランザクション処理を可能にしている。
HashSphereもこの技術を活かし、プライベート環境でのトランザクションのプライバシー保護を重視した仕組みを採用している。

さらに、HashSphereはイーサリアムとの互換性を備えており、将来的にはヘデラブロックチェーンとの相互運用性を強化する計画がある。
計画が順調に実現すれば、既存の分散型アプリケーション（DApps）やスマートコントラクトがスムーズに統合できる環境が提供される。

※ハッシュグラフ：従来のブロックチェーンとは異なり、ブロックの直線的な構造ではなく、有向非巡回グラフ（DAG）を用いた分散型台帳技術。これにより、トランザクションの高速処理と低コスト運用を実現している。

今後の展望と市場への影響

HashSphereのベータ版はすでに利用可能となっており、企業のフィードバックを踏まえた改良が進められている。2025年第3四半期には正式版のローンチが予定されており、複数の企業が導入を検討している状況だ。

HashSphereの導入により、企業は単一の「Sphere（範囲）」内でプライベートネットワークを構築することができるほか、複数のSphere間でのデータ共有も可能となる。
このアプローチは、既存の許可型ネットワークの課題を克服しながら、パブリックブロックチェーンのリスクを回避することを目的としている。

市場への影響の観点では、金融機関を中心にデジタル資産のトークン化や中央銀行デジタル通貨（CBDC）の実証実験などにおいてHashSphereの活用が見込まれる。特に、規制遵守が求められる業界において、安全性とプライバシーを確保した形でブロックチェーン技術を活用できる点は大きな利点となる。

HashSphereの普及が進めば、ヘデラエコシステム全体の成長につながる可能性が高い。今後の技術的進化と市場の反応に注目が集まるだろう。