イーロン・マスク、D.O.G.Eとドージコインの関係を否定 市場の誤解を一蹴

2025年3月30日、イーロン・マスク氏が米ウィスコンシン州で行われた「America PAC」のタウンホールミーティングで、連邦政府効率化局(D.O.G.E)と仮想通貨ドージコイン(DOGE※)の間に直接的な関係はないと明言した。
市場では両者の関係を巡る憶測が広がっていたが、今回の発言によりその誤解は払拭された。
マスクの発言と市場の反応
マスク氏は、政府機関「D.O.G.E(Department of Government Efficiency)」の名称がインターネット上の提案を受けて決定されたことを説明した。本来は「Government Efficiency Commission」として設立する予定だったが、ネット上での議論を経て現在の名前に変更されたという。
この発言の背景には、同年2月にD.O.G.Eの公式サイトにドージコインのマスコットが表示された出来事がある。これにより、一部の投資家の間で「ドージコインが米国政府の公式暗号資産として採用されるのではないか」との期待が高まり、ドージコインの価格は14%急騰した。
しかし、マスク氏は「政府がドージコインを使用する計画はない」と改めて断言し、D.O.G.Eの目的は「政府支出の削減と規制の効率化」にあると強調した。これにより、両者の直接的なつながりは完全に否定されたといえる。
この発言により、市場の反応は一転した。
ドージコインは発言直後に5%以上下落し、その後も不安定な推移を続けている。投資家の間で一部の憶測が収束する一方で、マスクの言動が引き続き市場に大きな影響を与えることが明確になった。
市場の動向と今後の展望
マスク氏の影響力がドージコイン市場に与える影響は依然として大きい。
過去にも同氏の発言一つで価格が急上昇・急落を繰り返してきたが、今回も同様のパターンが見られた。
市場は依然として敏感に反応しており、今後の発言次第では価格が再び変動する可能性が高い。
D.O.G.Eの設立自体はトランプ政権の政策と密接に関わっている。
政府の無駄を省くことを目的としており、その理念はマスク氏のビジネススタイルとも一致する部分がある。今後、D.O.G.Eがどのような政策を打ち出すかによって、仮想通貨市場にも間接的な影響を及ぼすかもしれない。
さらに、ドージコイン自体の将来性についても、マスク氏の関与が続く限りは一定の注目を集めると考えられる。
短期的な価格変動が起こることはあっても、長期的には「どのような用途が開発されるか」がカギとなるだろう。
ドージコインの実用性が強化されれば、単なる投機的資産ではなく、より安定した価値を持つ可能性がある。
総じて、市場の予測は困難だが、ドージコインが政府機関と直接的な関係を持たないことが明らかになった今、投資家はより慎重な判断を迫られることになりそうだ。
※ドージコイン(DOGE):2013年にジョーク通貨として誕生した暗号資産。低コストの取引手数料とコミュニティの支持を背景に、一部の決済手段として利用されている。