完全無人書店「ほんたす」、新神戸駅に初上陸 関西初のスマート書店が地域と観光をつなぐ新拠点に

2025年3月31日、日本出版販売株式会社は、2025年6月下旬に神戸市中央区の新神戸駅構内に関西初となる完全無人書店「ほんたす しんこうべ」を開業する予定と発表した。
無人運営と地域密着を両立 「ほんたす しんこうべ」が提示する新しい書店像
「ほんたす しんこうべ」は、日本出版販売株式会社が展開する完全無人書店である。
入店時にはLINE上の会員証を用いたQRコード認証を行い、会計はセルフレジによるキャッシュレス決済のみという仕組みだ。
これにより、従来の店舗と異なり、スタッフとの対話を介さずにスムーズな買い物体験が可能になる。
このような無人型店舗の導入は、利便性を重視する現代の消費者ニーズに応えると同時に、省人化による運営効率の向上を図るものである。
「ほんたす」としては全国で2店舗目、関西エリアでは初の出店となり、同社の新たな取り組みとしても注目される存在となっている。
店舗面積は約20坪とコンパクトながらも、取り扱い商品には書籍だけでなく神戸の観光地と連携した雑貨や限定オリジナル商品なども含まれている。観光客にとっては旅の記念となるアイテムに出会える場として、地元住民にとっては新たなカルチャースポットとしての活用が期待されている。
書店のコンセプトは「ふらっと、サクっと、旬を手に。」を掲げており、日々移り変わる関心や流行をタイムリーに反映した商品提案を行っていく見通しだ。
書店でありながら街のアンテナショップとしての側面も持つこの店舗は、従来の「本を買う場所」という枠組みを越えた存在となりつつある。
神戸市の再整備計画と連動した文化発信基地 地域と観光のハブとしての役割
「ほんたす しんこうべ」の開業は、神戸市が推進する新神戸駅周辺の再整備事業の一環として位置づけられている。
再整備は、神戸市とその外郭団体である「こうべ未来都市機構」によって共創されており、「駅の玄関口としてふさわしい空間の創出」を理念としている。その理念に合致する形で、地域文化の発信と利用者の利便性向上を担う役割が「ほんたす」に託されている。
この店舗は、日常的に駅を利用する地元住民だけでなく、神戸を訪れる観光客にとっても有用なスポットとなるだろう。観光地と連動した雑貨の取り扱いは地域の魅力を再発見するきっかけとなり、地域経済への好影響も見込まれる。
今後は季節やイベントに応じた企画展示や商品の入れ替えなど、柔軟な運営が可能となる点も、無人書店ならではの強みと言える。
競合他社と比較した場合、有人対応の一般書店や単なる自動販売機型の店舗とは異なり、「ほんたす」は“選ぶ楽しさ”と“時間の自由さ”を両立している点で差別化が図られている。
さらに、観光需要を意識した商品展開により、地域に根ざしつつも広域からの来訪者も取り込めるポテンシャルを秘めている。
将来的には、ほかの観光地や駅ナカエリアなどへの出店も視野に入る可能性があり、「ほんたす」は今後の書店業界における一つのモデルケースとなるだろう。
訪れるたびに“今”を感じられる場として、書店のあり方に新風を吹き込む存在になるのではないだろうか。