ブレインパッドら3社が業務提携、作業動画解析AIエージェントを2025年夏に提供開始へ

2025年3月28日、株式会社ブレインパッド、Fairy Devices株式会社、株式会社BrainPad AAAの3社は、マルチモーダルAI分野で業務提携を発表した。
日本国内における現場業務のDXを推進すべく、作業動画を解析して手順書や報告書を自動生成する「作業動画解析AIエージェント」の共同開発を進めている。
マルチモーダルAIによる業務支援が現場のDXを加速
今回の提携は、AI技術の進化を背景に現場業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を本格的に推進する狙いがある。
業務の効率化、安全性の向上、標準化が強く求められる中、作業現場の映像や音声といった多様なデータを統合的に活用するマルチモーダルAI(※1)は、大きな可能性を秘めている。
共同開発中の「作業動画解析AIエージェント」は、現場で撮影された作業動画を解析し、手順書や報告書を自動生成することで、業務の属人化を防ぎ、標準化や改善を促す。
また、緊急時には遠隔からの支援も可能となるほか、作業者からの問い合わせに対し、解析結果を元にした回答を即座に提供できる。
このAIエージェントの設計はブレインパッドが担い、開発をBrainPad AAAが担当する。
さらに、Fairy Devicesが提供するウェアラブルデバイス「THINKLET(シンクレット)(※2)」と連携し、現場でのリアルタイムな映像・音声・センサーデータを収集・解析する仕組みを構築している。
これにより、現場の作業実態を正確かつ迅速に把握し、作業改善や異常検知に活用する体制が整いつつある。
提供開始は2025年夏を予定しており、今後の市場動向と各社の連携強化が注目される。
作業現場のスマート化を目指すこの動きは、DX推進の新たな一手となる可能性がある。
※1 マルチモーダルAI:音声、画像、テキスト、センサーデータなど、複数の情報形式(モーダル)を統合して処理・解析するAI技術のこと。従来よりも高度で柔軟な判断や支援が可能となる。
※2 THINKLET:Fairy Devicesが開発した首掛け型のウェアラブルデバイス。軽量で装着しやすく、音声・映像・センサーデータをリアルタイムで取得・送信できる点が特徴。AIと連携することで、作業支援や記録の自動化に活用できる。
現場の業種を問わず導入可能、今後の展望に注目
「作業動画解析AIエージェント」は、製造・建設といった“現場力”が重視される業界にとって、有力なデジタルツールになり得る。とりわけ、熟練技術者の高齢化や人手不足が進む中では、ノウハウの継承や業務の自動化は喫緊の課題であり、本ソリューションがその一端を担う可能性は高いだろう。
たとえば、製造現場では機器操作や点検作業の記録を標準化し、異常な動作やトラブルの兆候を検知することにつながるだろう。
また、建設現場では、インフラの年次点検の記録を自動化し、作業の効率向上と人的ミスの低減が期待できる。
一方で、導入にはいくつかの課題も存在する。
まず、作業動画や音声の収集にあたって、現場でのプライバシー保護やデータ管理に関する懸念はつきまとうだろう。
特に個人情報保護の観点からは、運用体制の整備が求められる。