大東建託、営業現場に「生成型AI課長」を導入で商談力向上 台本なしで商談を疑似体験

大東建託は2025年3月28日、営業担当者の実践力強化を目的に、AIによる営業支援ロールプレイングシステム「生成型AI課長」を4月から営業現場に導入すると発表した。
同システムは、AIアバターとの自然な対話を通じて台本なしの商談を疑似体験できるのが特徴で、営業担当者の実践力向上が期待されている。
顧客情報をもとに自然な応答、リアルな商談を再現
大東建託は2024年10月、AI開発を手がけるエムニと共同で、営業支援を目的としたAIシステムの開発を開始した。その第1弾として導入されたのが、決められた台本に基づいて商談スキルを学習する「台本型AI課長」である。
今回、新たに導入が発表された「生成型AI課長」は、あらかじめ設定された台本ではなく、顧客の年齢、関心、性格といった情報に応じて、AIアバターが自然な受け答えを行うという。
営業担当者は、実際の商談に近いシチュエーションの中で、自らの言葉で会話を進めることが求められるため、より高度な応用力や対応力の育成が期待されている。
また、時間や場所を問わず、担当者自身のペースで繰り返しロールプレイングが可能な点も大きな特長だろう。
これにより、先輩社員の指導負担軽減が見込まれており、営業現場全体の教育効率向上と組織的なパフォーマンス改善にもつながると考えられる。
AI活用の可能性広がる、営業の質向上に期待
現時点では、初対面の顧客を想定したシナリオのみが実装されているが、今後は再訪問時の関係構築や、より踏み込んだ提案フェーズなど、複雑な営業シーンにも対応できるよう拡張機能の実装が予定されている。
さらに将来的には、AIが過去の営業データを分析し、成功事例をもとにした提案内容や行動プランを自動生成する機能の導入も視野に入れている。
これにより、担当者はより戦略的かつ創造的な営業活動へとシフトできるようになると考えられる。
こうしたAI支援の強化は、人材の早期育成や人的リソースの有効活用といった面でも効果が期待されており、営業現場におけるAI導入の実践例として不動産業界内でも注目される可能性が高いだろう。
今回の導入は、大東建託にとって営業現場の革新を目指す一手であると同時に、不動産業界におけるAI活用の先進事例とも考えられる。
営業支援における実効性が証明されれば、他社も同様の技術導入を進める可能性があり、業界全体の営業活動の質的向上につながることも期待されるだろう。
生成AIを活用した営業支援の取り組みは、単なる業務効率化を超え、組織の学習力や対応力そのものを変えていく取り組みとして、今後の展開が注目される。