ツルハドラッグ、BIPROGYと電子棚札の実証実験開始　省人化と業務効率化を目指す

ツルハドラッグとBIPROGYは2025年3月27日、北海道最大の旗艦店舗「カレスサッポロ ダ・ヴィンチモール」内にある「ツルハドラッグ 北6条店」において、電子棚札（※）の実証実験を開始した。
この取り組みは、小売業界における労働力不足への対応策の一環として、業務効率化と省人化を目的としたものである。

小売業の労働力不足と業務効率化の課題

小売業界では、人手不足が深刻化している。
特に店舗運営において、紙製のPOP広告や値札カードの作成・交換作業を行うことが、従業員にとって大きな負担となっている。ツルハドラッグは、これらの課題を解決するためにBIPROGYと協力し、電子棚札の導入を行うための実証実験を開始した。

今回の実証実験では、BIPROGYが提供する小売業向け基幹業務システム「Core Center For Retail」と電子棚札を連携させ、価格や販促情報のリアルタイム更新を実現する。
これにより、従来手作業で行っていた値札交換の手間を削減し、業務効率化を行うと同時に、誤表示リスクも低減させることで、消費者にとって信頼性の高い購買体験を提供する狙いがある。

電子棚札導入による業界全体への影響と今後の展開

電子棚札は、単なる業務効率化ツールにとどまらない。
労働力不足が進む中では、少ない人員でも店舗運営を円滑に進めるための重要な手段になり得るだろう。

今後、ツルハドラッグの実証実験の成果次第では、全国の店舗への電子棚札導入が本格的に検討される見込みである。成功すれば、他のドラッグストアやスーパーマーケットもこの動きに追随し、業界全体でのデジタル化が加速するだろう。
これにより、業務効率化と省人化が進展し、より柔軟な労働環境の実現が期待される。

また、電子棚札の普及は、消費者にとっても利便性の向上をもたらす可能性がある。
リアルタイムでの価格更新や販促情報の提供により、消費者はより正確な情報を基に購買判断を行えるようになる。これが、顧客満足度の向上につながる可能性もあるだろう。

ただし、デジタル化の進展に伴い、セキュリティやプライバシーの問題も重要な課題となる。データの管理や不正アクセスへの対策が求められるため、企業はこれらのリスクに対処するための体制を整える必要があるだろう。

全体として、電子棚札の導入は小売業界における新たな潮流を生み出す可能性があり、今後の展開に注目が集まる。

※電子棚札：商品棚に設置するデジタル表示機器。価格や販促情報をリアルタイムで更新できるため、紙製値札の作成・交換作業が不要になる。また、データ連携により価格ミスを防ぐ効果も期待される。