ファンケル、全152店舗に接客アプリ導入 現場の声を活かし顧客満足度を向上へ

2025年3月26日、ファンケル(日本)は4月1日より全国152の直営店舗にて「接客アプリ」の運用を開始すると発表した。約1000人のスタッフから得た意見をもとに開発されたこのアプリは、顧客情報や在庫状況を一元管理することで接客の質と顧客満足度の向上を狙う取り組みとなっている。
接客情報の一元化で業務を効率化 リアル店舗の価値を再定義
今回の接客アプリはファンケルが現場の課題を解消するために開発した新たなツールである。
従来顧客の購入履歴や接客記録、在庫情報はPOSレジやタブレット、PCなど複数の機器に分散されており、スタッフが必要な情報を迅速に取得するのは容易ではなかった。
こうした非効率な環境を見直すべく、ファンケルは店舗スタッフへの大規模なヒアリングを実施。その結果をもとにスマートフォン一台で必要情報に即座にアクセスできる接客アプリの開発に着手した。
アプリには顧客の過去の購入履歴や対応履歴を確認できる機能のほか、店舗間をまたいだ在庫確認機能も搭載されている。これにより、スタッフは接客中に迅速かつ的確な提案が可能となる見込みだ。
ファンケルは、リアル店舗を単なる販売拠点ではなく「ブランドの情報発信基地」として位置づけている。顧客との信頼関係を築くためには、デジタルツールを活用しながらも、温かみのある対面接客を維持することが求められる。
このアプリの導入により、業務の効率化だけでなくスタッフが顧客一人ひとりにより丁寧に対応できる環境が整うと考えられる。情報取得にかかる時間を削減することで顧客とのコミュニケーションに注力でき、接客の質が高まるという好循環が期待される。
2025年4月1日から全国152店舗で一斉に導入されるこの取り組みは、ブランド体験の質を向上させるための一手となるだろう。
導入におけるメリット・デメリット 従業員のトレーニングが課題か
ファンケルが導入する接客アプリには、いくつかの明確なメリットが存在する。
まず、スタッフが必要な情報に迅速にアクセスできることで、接客の質が向上することが期待される。
顧客の過去の購入履歴や対応履歴を即座に確認できるため、よりパーソナライズされた提案が可能となる。
さらに、在庫確認機能により他店舗の在庫状況を把握できるため、顧客のニーズに応じた適切な商品提案が実現するだろう。
一方でデメリットも考慮する必要がある。
新しいシステムの導入にはスタッフへの教育やトレーニングが不可欠であり、初期段階では混乱が生じる可能性がある。詳細な研修とマニュアル整備が今後の課題となるだろう。