JRA、競馬場指定席エリアに顔認証システムを導入

日本中央競馬会（JRA）は2025年4月下旬から、札幌、函館、新潟、東京、京都、小倉の6競馬場の指定席エリアにおいて、顔認証システムを導入すると、2025年3月26日に発表した。​この取り組みは、公営競技市場における初の試みであり、入場管理の効率化とセキュリティ向上が期待されている。​

導入の背景とシステムの詳細

JRAが顔認証システムを導入する背景には、入場管理の効率化や不正入場の防止、さらには来場者の利便性向上がある。
​指定席エリアの入場ゲートには専用の端末が設置され、初回入場時にQRチケットを読み込ませて顔写真を登録する。​
以降は、顔をかざすだけで入場が可能となり、再入場時にも同様の認証が求められる。​

これにより、荷物で手がふさがっている場合でもスムーズな入退場が実現される。​さらに、各入場ゲートのカメラ映像を集中管理することで、入場管理業務の効率化が図られる。 ​

JRAは2023年から2024年にかけて実証実験を行い、入場時の顔画像登録が平均約5秒、顔認証が平均約1秒で完了することを確認した。​ピーク時には、認証端末5台で1分間に約100名の認証が可能であることも実証されている。​これらの成果を受け、JRAは本格導入を決定した。​

リニューアルオープンした阪神競馬場では、2025年3月29日から4月20日までの間に、一部指定席エリアで実証実験を行う予定である。​この新システムの導入により、競馬場での入場体験が大幅に向上することが期待されている。 ​

JRAの顔認証システムの課題と展望

今回の顔認証システムには、いくつかの懸念点も存在する。

一つが、プライバシーの問題である。顔認証技術の導入により、個人情報が収集されることに対する不安を抱く来場者もいるだろう。
また、技術的なトラブルが発生した場合、入場がスムーズに行えなくなるリスクも考慮しなければならない。
さらに、システムの導入に伴うコストや運用負担も無視できない要素だろう。

今後、JRAの顔認証システムが競馬場においてどのように機能するかが注目される。
2025年4月下旬からの本格導入に向けて、実証実験の成果を基にした運用が行われる予定だ。特に、阪神競馬場での実証実験が成功すれば、他の競馬場への導入が加速する可能性が高い。これにより、競馬場全体の入場体験が向上し、来場者の満足度が高まることが期待される。

顔認証システムの導入が進めば、他の公営競技やイベントにも波及する可能性がある。競馬場以外の施設でも、より安全で快適な環境が提供されることに期待したい。