GMOサイバーセキュリティ byイエラエ、韓国・慶熙大学と提携 宇宙分野のサイバー防衛強化へ

GMOインターネットグループのサイバーセキュリティ事業を担うGMOサイバーセキュリティ byイエラエは、2025年3月25日、韓国・慶熙(キョンヒ)大学 融合セキュリティ大学院との業務提携を発表した。
宇宙空間での通信インフラを対象に、サイバー攻撃に備える共同研究が始動する見通しである。
宇宙インフラへの脅威増す中、国際連携でサイバー防衛体制を構築
今回の提携は、宇宙システム(※)に対するサイバー攻撃リスクの高まりを背景にしている。
人工衛星をはじめとした宇宙通信インフラは、近年ハッキングや情報詐取の標的となるケースが増えており、安全性に対する国際的な懸念が広がっている。
このような状況を受け、GMOサイバーセキュリティ byイエラエと慶熙大学は、IoTやドローンといった分野の専門知識を活用し、人工衛星や地上設備を含む通信網への攻撃手法の解明と防御技術の開発に取り組む構えだ。
2025年2月12日には覚書を交わしており、4月1日には具体的な共同研究契約を締結する予定である。
GMOサイバーセキュリティ byイエラエは、国内最大規模のホワイトハッカーで組織されたサイバーセキュリティの会社だ。
各種脆弱性診断やセキュリティコンサルタントなどのサービスを提供している。
一方、韓国の慶熙大学は1949年に設立された伝統ある私立大学であり、同大学の融合セキュリティ大学院は2023年に発足。
無人移動体システムに特化したハッキング対策の教育を提供し、国際ドローンハッキング大会での優勝実績を持つなど、世界的な研究機関として評価されている。
※宇宙システム:人工衛星やその管制施設、地上局、宇宙機といった宇宙空間に関連するインフラ全体を指す。軍事・商用問わず活用が広がっており、サイバー攻撃による影響が甚大になるリスクがある。
研究プロジェクトの今後の展望
両者の今後の展開として、2025年4月に予定されている共同研究契約の締結を機に、実証的な研究プロジェクトが本格化すると見られている。
両機関はすでにドローン分野での実績を持ち、宇宙通信インフラへの応用が視野に入っていることから、短期的には模擬環境での攻撃シナリオと防御技術の開発が進む可能性が高い。
中期的には、これらの成果を国際学会や競技大会で発表し、技術的信頼性と国際的プレゼンスを高めていく流れが予想される。
さらに長期的には、アジア圏におけるサイバー防衛拠点としての地位確立も視野に入る。
アメリカをはじめとする他国の産官学連携に倣い、政府機関や宇宙開発企業との連携が実現すれば、研究のスケールは一段と拡大するだろう。
また、宇宙システムの標準化や共同防衛体制の構築といった動きが進めば、本提携がその起点として評価される可能性もある。
一方で、宇宙サイバー防衛は黎明期にある分野であり、継続的な資金投資と制度整備がなければ成果は限定的にとどまる恐れもある。
今後両者がどのように展開していくのか、引き続き注目したい。
ニュースリリース
