NEC、AIサービス「くるみえ for Lifeline」を提供開始　ドライブレコーダー活用でインフラ設備の予防保全を支援

NECは2025年3月25日、ドライブレコーダーの映像をAIで解析し、電力インフラ設備の予防保全を支援する新サービス「くるみえ for Lifeline」を電力事業者向けに提供開始したと発表した。

このサービスは、電柱と樹木の接触リスクを自動判定し、停電事故の未然防止とメンテナンス業務の効率化を目指している。

「くるみえ for Lifeline」の主な機能と導入の背景

NECが発表した「くるみえ for Lifeline」は、電力インフラの維持管理にAIとIoTを活用する先進的な取り組みである。

「くるみえ for Lifeline」は、巡視・点検車両に装着されたドライブレコーダーで収集した映像をクラウド上のAIが分析し、電柱と樹木の接触リスクを自動的に判定する。これにより、危険箇所を地図上に可視化し、迅速な対応を可能にする。

さらに、AIが検出した電柱情報を蓄積し、ウェブブラウザから最新の画像を確認できるため、工事設計に伴う移動工数の削減や、異常連絡への迅速な対応が期待できる。

近年、電柱をはじめとするインフラ設備の老朽化が進行し、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠となっている。

一方で、人口減少や熟練作業員の引退により、メンテナンスを担う人材の不足が深刻化している。このような状況下で、ITやAIを活用した保全業務の高度化が求められており、「くるみえ for Lifeline」はその解決策として提供された。

今後の展望

NECはこのサービスのさらなる機能強化を進めるとともに、水道、ガス、通信など他のインフラ設備への対応も計画している。これにより、各種インフラの維持管理における効率性と安全性の向上が期待される。

また、AI技術の進化に伴い、より高度なリスク予測や異常検知が可能となるだろう。これにより、インフラ設備の予防保全が一層強化され、社会全体の安全性向上に寄与すると考えられる。

さらに、NECは他のインフラ設備への対応も予定していることから、電力以外のインフラ分野でも同様の効果が期待できる。
たとえば、水道やガス、通信などの分野での活用が進めば、インフラ全体の維持管理が効率化され、社会全体の安全性と持続可能性が向上する可能性がある。

ただし、これらの技術を実用化するには、データの正確性やプライバシー保護、システムの信頼性確保など、多くの課題が存在する。

これらの課題を克服することで、AIとIoTを活用したインフラ維持管理の未来が切り拓かれると考えられる。