OpenAI、ChatGPTの画像生成機能を大幅強化　新モデル「GPT-4o」で編集性能も向上

2025年3月25日、OpenAIのCEOサム・アルトマンがライブ配信で発表したChatGPTの画像生成機能アップグレードは、AIの創造力における重要な進化を示している。新モデル「GPT-4o」を活用し、精密な画像生成と柔軟な編集が可能になった。

GPT-4oによる画像生成

今回のアップグレードでは、ChatGPTに新たに搭載された「GPT-4o」が中核を担う。
このモデルは、OpenAIがこれまで展開してきたDALL-E 3よりも長時間の推論を行う設計になっており、その結果、細部まで精緻に描写された画像生成が実現した。
従来は難しかった人物や複雑な背景の再現も可能であり、これまで以上にユーザーの要求に応える柔軟性を獲得している。

また、編集機能も飛躍的に進化した。
画像の一部を変形・補完するインペインティング（※1）機能が導入され、既存の画像に対する加工の自由度が高まった。
テキストから画像を生成するだけでなく、画像の“再構築”という新しい活用を促す可能性を秘めている。

一方で、トレーニングデータの透明性と知的財産保護への配慮も強調されている。
GPT-4oは公開データに加え、Shutterstockなどの提携先から提供を受けたデータで訓練されており、現存するアーティストの作風を模倣する画像の生成を避けるガイドラインも明示されている。
クリエイターが自身の作品をトレーニングから除外できる選択肢も用意されており、AI開発における倫理的課題への対処が進んでいる点は注目に値する。

※1 インペインティング：
AIが画像の一部を補完または再描写する技術。欠損や不要部分を自然に埋める編集方法で、画像編集における柔軟性を高める。

Pro限定から始まる展開と、競合をにらんだOpenAIの戦略

現段階でこの新機能を利用できるのは、OpenAIが提供する月額200ドルのProプラン加入者に限定されている。
機能の安定性とユーザー体験の最適化を目的とした段階的な提供と見られており、将来的にはPlusプランや無料ユーザー、さらにAPIを利用する開発者向けにも機能が拡張される見通しである。

このタイミングでのアップグレードは、Googleが先日発表した「Gemini 2.0 Flash」の画像生成機能に対抗する意味合いも強い。
Gemini 2.0 Flashでは、生成された画像が著作権リスクをはらむとの指摘が一部で見られており、OpenAIはより厳格なコンテンツ管理体制を敷くことで、安全性と信頼性を武器に差別化を図っている。
こうした倫理的ガードレール（※2）の設置は、長期的には企業やクリエイターにとって安心材料となるだろう。

また、生成AI技術の進化は、デザイン、広告、教育、エンターテインメントといった産業分野にも波及する可能性が高い。
ChatGPTの画像機能強化は、生成だけでなく、加工や再編集もできるようになったことで、より実用性が高まっている。
AIを使用した画像制作が、より日常業務に定着する未来が想定できる。

※2 ガードレール：
AIの暴走や誤使用を防ぐための制限や安全設計。倫理的・法的リスクを軽減する目的で設けられるルールや仕組みのこと。