リップル、SECへの追加上訴を撤回 4年間の法廷闘争が終結

2025年3月25日、リップル社は米証券取引委員会(SEC)との法廷闘争において、追加上訴を撤回すると発表した。これにより、2020年12月から続いていた訴訟が実質的に終結することになる。仮想通貨XRP(※1)の法的地位が改めて明確になり、今後の市場や規制動向にも影響を与える可能性がある。
4年に及ぶ法廷闘争の終結と合意内容
今回の法的闘争は、2020年12月にSECがリップル社を提訴したことに始まる。
SECは、リップル社が仮想通貨XRPを未登録の証券として販売したと主張し、訴訟を提起した。これに対し、リップル社は一貫してXRPは証券ではないと反論し、法廷での争いが続いた。
転機となったのは2023年7月、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のアナリサ・トレス判事が下した判決だ。同判決では、XRPのプログラム的販売(※2)は証券法違反に該当しないと認定した一方で、機関投資家への直接販売は証券法に違反するとされた。
その後、リップル社の決定により追加上訴は撤回され、SECとの和解が成立した。
リップル社の法務責任者であるスチュアート・アルダロティ氏によると、SECは1.25億ドルの罰金のうち5,000万ドルを保持し、残額をリップル社に返還することで合意したという。
さらに、裁判所に対し従来の差し止め命令の解除を求める方針も示した。
リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOは、この合意を受けて「XRPが有価証券ではないことが明確になった」と述べ、法的な不確実性が解消されたことを強調している。
XRPの法的地位と市場への影響
リップル社とSECの法廷闘争は、仮想通貨業界全体にとって大きな注目を集めるものであった。今回の合意により、XRPの法的地位がより明確になったことで、投資家や業界関係者の不安が和らぐ可能性があるだろう。
また、XRPが証券ではないとされたことは、他の仮想通貨プロジェクトにも影響を与え得る。特に、同様の販売方式を採用する仮想通貨の規制リスクが軽減される可能性があり、業界全体の発展に寄与すると考えられる。
市場の間では、リップル社の勝利と見なす声が多く、XRPの価格にも影響を与える可能性があると指摘されている。一方で、SECが今後も仮想通貨業界に対する規制を強化する可能性があり、今後の政策動向が注視されるべきだろう。
リップル社は今後、法的な課題から解放されたことで、より積極的な市場展開を進めると予想される。特に、米国市場における事業拡大や新たなパートナーシップの構築に注力する可能性がある。
仮想通貨業界全体の規制の方向性を見極めつつ、リップル社がどのような成長戦略を描いていくのか、引き続き注目が集まる。
※1 XRP(エックスアールピー):リップル社が開発したデジタル資産で、国際送金の迅速化とコスト削減を目的としている。従来の銀行送金システムよりも効率的な決済手段として注目されている。
※2 プログラム的販売:仮想通貨取引所を通じて自動的に売却される仕組みのこと。投資家個人が市場で自由に売買できる形式を指す。