IFSとソルパック、製造業顧客へクラウドやAIを活用した設備資産管理ソリューションの提供を開始

IFSとソルパックは2025年3月25日、製造業向けの設備資産管理ソリューションを提供するための戦略的パートナー契約を締結した。
本ソリューションは、IFSの「IFS Cloud Enterprise Asset Management（EAM）」とソルパックの専門技術を組み合わせたもので、AIを活用した予兆検知機能（※）を強化し、設備管理の高度化を実現する狙いがある。

製造業の課題と新ソリューションの特長

製造業では、熟練技術者の退職や労働力不足が進み、設備の老朽化も課題となっている。
従来の事後保全では突発的なトラブルへの対応が必要となるため、ダウンタイムの増加やコスト増大につながる。
一方で、予防保全や予知保全の導入は多くの企業にとって喫緊の課題となっている。

IFS Cloud EAMは、設備資産のライフサイクル全体を管理できるクラウド型プラットフォームであり、モジュール式の柔軟な構成が可能だ。
AIを活用した予兆検知機能により、設備の稼働状況をリアルタイムで分析し、潜在的な故障リスクを事前に特定できる。
これにより、製造業の設備管理は、事後保全から予防保全、さらには予知・処方的保全へと進化することが期待される。

※予兆検知：設備のセンサー情報や運転データをAIが解析し、故障や劣化の兆候を早期に検出する技術。未然に対策を打つことで、設備のダウンタイムを削減できる。

AI設備管理の展望

AIとクラウドを活用した設備資産管理の導入は、今後さらに拡大すると考えられる。
特に、IoT技術の進化により、設備のセンサーデータがより高精度に取得できるようになれば、予兆検知の精度向上が期待される。

さらに、労働力不足が深刻化する中では、自動化技術の進展が製造業全体の生産性向上に貢献すると考えられる。クラウド型プラットフォームの普及が進めば、業界全体でデータを共有し、異なる企業間でベストプラクティスを共有する動きも加速するかもしれない。

一方で、導入企業が増えるほど、システム間の互換性やデータ管理の標準化が課題として浮上する可能性がある。特に、日本の製造業はレガシーシステムを多く抱えており、それらとの統合をどのように進めるかが鍵となるだろう。
また、AIが意思決定の一部を担うことに対する現場の理解や信頼を醸成することも重要であり、適切なトレーニングや導入支援が不可欠となる。

今後、IFSとソルパックの協業が成功事例を生み出せば、他の製造業向けソリューションプロバイダーとの連携強化や、新たな市場開拓にもつながる可能性がある。特に、日本国内だけでなく、海外市場への展開も視野に入れた取り組みが進むかもしれない。

総じて、IFSとソルパックの協業は、日本の製造業の競争力強化に寄与する可能性が高いだろう。