トランプメディア企業TMTG、Crypto.comと提携し「米国製」仮想通貨ETFを開発へ

2025年3月24日、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)が仮想通貨取引所Crypto.comと提携し、新たな仮想通貨ETF(※)の開発を発表した。
このETFは「米国製」に特化し、ビットコインやCronosなどの仮想通貨を含む投資商品として提供される予定だ。
米国製に特化した仮想通貨ETF、TMTGの新戦略
TMTGは、フィンテックブランド「Truth.Fi」を通じて、デジタル資産および株式を組み合わせたETFの開発を進めている。
この新しいETFは、米国企業に焦点を当てた投資商品となり、ビットコイン、Crypto.comのネイティブトークンであるCronos(CRO)を含む仮想通貨バスケットで構成される見込みだ。TMTGは、このETFを通じて、急成長するアメリカ企業や技術革新を支援する方針を掲げている。
提携の背景には、TMTGの「アメリカ・ファースト」の投資戦略がある。
CEOのデビン・ヌーネス氏は、今回の取り組みについて「米国の成長企業を支援するための革新的な投資商品だ」と述べ、国内資本の流入を促進する狙いを強調した。
一方で、Crypto.comはETFの技術基盤やカストディ(資産保管)サービスを提供する役割を担う。TMTGはこのプロジェクトに最大2億5,000万ドルを投資し、Crypto.comと共に市場の需要を喚起する計画だ。
市場の反応は分かれている。
発表直後、TMTGの株価は約9%上昇したが、年初からの下落率で見ると38%に及ぶ。
投資家の中には、同社の事業戦略やETF市場の競争環境を慎重に見極めようとする動きがある。特に規制面の不確実性が懸念材料として指摘されており、今後の承認プロセスが注目される。
競合との差別化と今後の見通し
仮想通貨ETF市場はすでに複数の競合が存在しており、TMTGの新ETFがどのように差別化を図るのかが焦点となる。特に「米国製」に特化した点は、従来の仮想通貨ETFとは異なる特徴と言える。
たとえば、ブラックロックやグレースケールが提供するETFは、主にビットコインやイーサリアムにフォーカスしているが、TMTGのETFは、米国の革新的な企業を支援する意図が強い。これは、単なる仮想通貨の価格変動に依存するのではなく、米国経済全体の成長と連動させる試みと考えられる。
また、規制当局の承認プロセスが課題として残る。
米証券取引委員会(SEC)の審査をクリアしなければ、ETFの市場投入は実現しない。現在のところ、2025年内のローンチを目指しているが、承認の遅延や追加の規制対応が必要になる可能性も否定できない。
TMTGは今後、仮想通貨市場においてさらにさらに積極的な展開を進める見通しだ。
今回のETFにとどまらず、新たな投資商品やデジタル資産関連サービスの提供を視野に入れているようだ。仮想通貨と伝統的な金融市場の融合が進む中、TMTGの動向が市場全体にどのような影響を与えるのか、引き続き注視したい。
※ETF(上場投資信託):複数の資産を組み合わせて運用される投資商品で、証券取引所で売買される。仮想通貨ETFは、従来の株式市場とデジタル資産を融合させた新しい投資手法として注目されている。