東京都、ブロックチェーン活用の「カーボンクレジットマーケット」3月25日開始

東京都は2025年3月21日、ブロックチェーン技術を活用した独自のカーボンクレジット取引システム「東京都カーボンクレジットマーケット」の運用を25日午前10時から開始すると発表した。
このシステムは「ゼロエミッション東京」実現に向けた取り組みの一環として、中小企業などが国内外のカーボンクレジットを容易に取引できる環境を提供するものだ。
ブロックチェーンで取引の透明性と効率性を向上
新たに開設される「東京都カーボンクレジットマーケット」は、ブロックチェーン技術を基盤としており、カーボンクレジットをウォレット化して譲渡することが可能になった。
これにより、従来は認証機関ごとに必要だった口座開設が不要となり、取引の簡便性が大幅に向上する見込みである。
このシステムでは取引履歴が暗号化されるため、不正や改ざんを防止する効果も期待されている。
利用対象は国内の法人と任意団体に限定されるが、登録料・利用料は無料という点が特徴的だ。
取引可能なクレジットにはJ-クレジット(※)や海外のボランタリークレジットが含まれており、利用者は二次流通(システムへの再流通)も可能となっている。
参加登録は既に3月11日から始まっており、指定のURLから手続きを行うことができる。
※J-クレジット:省エネ設備の導入や森林経営などの取り組みによる、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。
東京都の構想と今後の展望
東京都は、企業が「東京都カーボンクレジット」によって、温室効果ガスの排出を削減する取り組みをすることに期待をかけている。特に、中小企業において利活用が進むことを狙っており、国内外のカーボンクレジットへのアクセスを整備することで、中小企業でも省エネ活動を実行できるようにしようという意図がある。
今回の取り組みは、環境に対するエコロジー政策と、先端技術であるブロックチェーン技術を組み合わせた点が画期的と言える。
ブロックチェーン技術を応用することで、ユーザーは信頼性と透明性を持った取引を、電子上で行うことができる。
公的機関による導入が進むことで、ブロックチェーン技術を導入したサービスの認知が広がることも期待できるだろう。
特に、今回ターゲットとなる中小企業にとっては、取引の透明性が向上したことと、認証機関ごとの口座開設が不要になったことで、大きな恩恵が期待できる。
一方で、ブロックチェーン技術自体に対する理解不足が、特に中小企業において導入障壁となる可能性もある。このシステムが成功すれば、行政がブロックチェーン技術を積極的に活用する事例として、他分野への応用拡大も期待できる。
企業にどの程度ブロックチェーン技術が浸透するかどうかは、中小企業の実際の反応を注視する必要があるだろう。