米国ECサイト、生成AI経由のトラフィック1200%増加 アドビ調査が示す生成AI利用の現状

米アドビ社が2025年3月17日に発表した最新調査によると、米国のEコマース業界において生成AI経由のウェブトラフィックが過去半年で1200%増加したという。特に高額商品カテゴリにおけるコンバージョン率向上という形で効果が表れているとのことだ。
調査結果の詳細
調査結果によれば、2022年9月以降、生成AIを介したEコマースサイトへのトラフィックは2か月ごとに倍増する傾向があるという。
特に注目すべきは、ホリデーシーズン中の消費者行動だ。海外ECサイトでの大規模なセールである「サイバーマンデー」において効果は顕著で、AI搭載チャットボット経由のトラフィックは、前年同期比で1950%増加した。
依然として有料検索やEメールなどのチャネルの利用率は高いが、生成AIサービスによるトラフィックには独特の強みがある。
AI経由でサイトに訪問したユーザーは、他のトラフィックソースからの訪問者と比較してサイト滞在時間が長く、エンゲージメント率が8%高いという結果が出ている。
生成AI経由のコンバージョン率は製品カテゴリによって大きく異なることが明らかになった。家電製品や宝飾品といった高額商品では高いコンバージョン率を記録している一方、アパレルや家庭用品、食料品では相対的に低い傾向にある。
これは、複雑な意思決定を要する高額商品の購入において、AIによる情報整理や提案が特に効果的に機能していることを示していると考えられる。
全体的には、AI経由の購入率は他のトラフィックソースと比較して現在9%低い水準にあるものの、昨年7月には43%下回っていたことを考えると、大幅な改善が見られる。
消費者側の意識調査では、回答者の92%がAIを利用することでショッピング体験が向上したと回答しており、87%が高額商品や判断が難しい商品の購入にAIを活用する可能性が高いとしている。
利用デバイスに関しては、デスクトップ端末からのアクセスが主流となっており、これは大画面で情報を整理しやすいインターフェースがAI活用に適していることを反映したものと分析できる。
今後の展望
今後、生成AIはEコマース体験の「標準機能」として定着していく可能性が高い。アドビは、消費者がAIチャットを通じた購買行動に慣れつつあると指摘しており、AIが今後さらに「購入意思決定のインフラ」としての地位を強めていくことを示している。
特に、購入単価の高いカテゴリにおいては、AIによる情報提供が「接客」のような役割を果たすようになるだろう。今後は、AIチャットが音声対応やビジュアル検索と組み合わさることで、より直感的なショッピング体験へと進化することが予想される。
一方で、現時点で明らかになっている限界(日用品のコンバージョン率の低さや、モバイル対応の未成熟さ)に対処できるかどうかが、AIの真の普及を左右する分岐点となる。
生成AIは今、ECの補助機能から中核機能への転換期にある。この動向は、単なる「トラフィックの増加」を超えた、購買行動そのものの再設計を促すきっかけになるだろう。