AIインフラ整備へ官民協調　地方分散と脱炭素電源の活用を推進

政府は2025年3月21日、生成AIの普及に伴うデータセンターの電力需要増加に対応するため、再生可能エネルギーの活用を促進する「ワット・ビット連携」の初会合を開催した。
電力、通信、データセンター事業者が参加し、地方分散型インフラの整備を進める方針だ。
具体策は2025年6月までにまとめられる見通しである。

AIの発展に伴う電力需要増と持続可能なインフラ整備

生成AIの進展により、データセンターの電力消費量が急増している。特に、大規模な計算処理を必要とするAIモデルの運用には、膨大なエネルギーが求められる。
この背景を踏まえ、政府は持続可能なエネルギー利用を促進するため、官民一体でのインフラ整備を推進する方針を示した。

「ワット・ビット連携」は、再生可能エネルギーを活用しながら、効率的な電力供給を実現することを目的とする。政府の主導のもと、電力会社、通信事業者、データセンター運営企業が参加し、送電網や通信網の整備計画を共有することで、個別に進めてきたインフラ整備の統合を図る。

地方分散型のインフラ整備も重要なポイントである。石破政権は地方創生を掲げており、本取り組みは地域経済の活性化にも寄与する。地方にデータセンターを設置することで、電力負荷の分散だけでなく、新たな雇用創出や関連産業の発展も期待されている。

再生可能エネルギーの活用と今後の展望

データセンターの電力供給において、再生可能エネルギーの活用は重要な課題となっている。従来、化石燃料由来の電力供給が中心だったが、脱炭素化の流れを受け、風力や太陽光などの再生可能エネルギーへの移行が求められている。
「ワット・ビット連携」では、地域ごとの自然環境を活かしたエネルギー活用が議論され、特に北海道や九州など再生可能エネルギー資源が豊富な地域へのデータセンター誘致が検討されている。

政府は2025年6月までに具体策を策定し、官民が連携して計画の実行に移す方針である。
ただし、再生可能エネルギーの安定供給や、送電インフラの整備といった課題も残されている。持続可能なエネルギー利用のためには、各地域の特性を活かしたインフラ構築が鍵になるとの見方もある。
今後、官民の協力体制を強化しつつ、持続可能なAIインフラの確立を目指すことが求められるだろう。