豊田自動織機、AIプラットフォーム「meviy」導入で部品調達を大幅効率化

豊田自動織機は、部品調達の効率化を目的に、ミスミグループ本社が提供するAIプラットフォーム「meviy（メビー）」を導入し、設備製作のリードタイムを大幅に短縮させたと、3月19日に発表した。

同社は今後も、製造工程全体のデジタル化を進め、さらなる生産効率の向上を目指す。

3Dデータ活用による部品調達改革

豊田自動織機は、繊維機械、自動車関連部品、産業車両・物流ソリューションを手掛ける企業であり、近年はデジタルトランスフォーメーション（DX）を積極的に推進している。
従来の部品調達では、2D図面の作成に多くの時間と手間がかかり、人的ミスの発生も課題となっていた。

「meviy」は、3D CADデータをアップロードすることで、AIが自動見積もりを行い、最短1日で部品を出荷するプラットフォームである。
このプラットフォームの導入により、2D図面作成が不要となり、設計から発注までの工数を大幅に削減した。部品調達の作業時間を90%以上短縮し、リードタイムの圧縮を実現した。

また、3D CAD（※）やVR、3Dスキャナーといったデジタル技術を組み合わせることで、設計段階からより正確なシミュレーションが可能となり、試作の手間を減らす効果も期待されている。

「meviy」の導入は、豊田自動織機のDX戦略の一環である。
同社は、設備製作の全工程を3次元データで完結させることを目標としており、設計・製造・調達の各プロセスをよりスムーズに連携させる狙いがある。

※3D CAD（Computer-Aided Design）：
コンピュータを用いた3D設計支援ツール。従来の2D図面に比べ、設計の精度や効率が向上する。

今後の展望

豊田自動織機のDX戦略の一環として、「meviy」の導入はスタート地点に過ぎないと考えられる。
今後は、3D CADとAIを活用したさらなる自動化が進み、設計から製造、調達までの一貫したデジタルワークフローが構築される可能性が高い。特に、3DスキャナーやVRとの連携が進めば、より高度なシミュレーションや品質管理が実現し、試作レスの設計環境が確立されるかもしれない。

また、製造業全体のトレンドとしても、3Dデータを活用した調達のデジタル化は今後さらに加速すると考えられる。
自動車業界に限らず、航空宇宙や精密機械分野など、高度な部品設計が求められる領域では、こうしたAIプラットフォームの導入が標準化される可能性がある。
とはいえ、企業ごとのニーズに合わせたカスタマイズや、従来の調達方法とのバランスをどう取るかが、今後の課題となるだろう。