NvidiaとGoogle、およびディズニーが次世代ロボット向け物理エンジン「Newton」を共同開発

米Nvidia、Google DeepMind、Disney Researchが共同で新物理エンジン「Newton」を開発すると、2025年3月18日のGTCカンファレンスでNvidiaジェンセン・ファンCEOが発表した。このエンジンはロボットと物理世界の自然な相互作用を可能にするもので、ディズニーのテーマパークに新たなエンターテイメントをもたらす見込みだ。
現実世界の物理法則を精密に再現
「Newton」は、現実世界の複雑な物理現象をデジタル空間で高精度に再現することを目指している。従来のロボティクス開発では、現実世界をシミュレートするうえで、食品、織物、液体、砂などの要素を再現することが難しかった。
Newtonは、これまで課題とされてきた多様な物質との相互作用をシミュレートする能力を持つという。シミュレートできる物体が多くなれば、ロボットはより自然な動きと反応が可能となる見込みだ。
ディズニーはこの技術を活用し、「スター・ウォーズ」シリーズにインスパイアされた次世代ロボット「BDXドロイド」をテーマパークに導入する計画を明らかにした。来年からの展示が予定されているということだ。
技術面では、Newtonは既存のGoogle DeepMind開発の物理エンジン、MuJoCo(※)と完全互換性を持つ設計となっている。既にMuJoCoを利用している研究者や開発者は、Newtonにスムーズに移行し、拡張された機能を活用できる見通しである。Nvidiaによれば、2025年後半にはオープンソース版がリリースされる予定だという。
※MuJoCo:Multi-Joint dynamics with Contact の略で、接触力を含む複数関節のダイナミクスを高精度でシミュレートする物理エンジン。ロボット工学や人工知能研究において広く活用されている。
エンターテイメントの未来形
GTC 2025カンファレンスでは、物理エンジン「Newton」の発表に加え、Nvidiaはヒューマノイドロボット専用のAI基盤モデル「Groot N1」も披露された。Groot N1はロボットの知覚能力と推論機能を飛躍的に向上させ、より複雑な環境認識と意思決定を可能にすると考えられる。
また同社は次世代AIチップ「Blackwell Ultra」と「Rubin」のロードマップも発表。ロボティクスとAI領域の発表が多くあった。これらの先進技術がNewtonと組み合わさることで、ロボティクスの分野は大きく前進する可能性を秘めている。
NvidiaとGoogleはこれまでもAI関係で協力することがあったが、ディズニーとの協業は目新しい。
先端技術がエンターテイメントやアート方面での利用されることがどのように受け止められるか不透明な部分も大きい。
しかし、ロボティクスやAIなどの先端技術と、エンターテイメント領域が関わることで、新しい楽しみが生まれる可能性もある。
今後どのように技術の利用が進むか、またどのように受容されるのか、注目が集まっている。