Qualtrics、AIエージェント「Experience Agents」を発表 顧客体験の革新を目指す

米Qualtricsは2025年3月17日、「X4 2025 Experience Management Summit」(3月18日~20日、米ユタ州ソルトレークシティー)の開催に先立ち、新たなAIエージェント「Qualtrics Experience Agents」を発表した。
本AIエージェントは、顧客とのインタラクションを強化し、迅速かつ共感的な対応を実現することを目的としている。
顧客体験を支援する「Qualtrics Experience Agents」
Qualtrics Experience Agentsは、顧客対応の効率化と満足度向上を目的に開発されたAIエージェントである。
従来の自動応答システムとは異なり、共感的なインタラクション(※)を可能にする点が特徴だ。
本エージェントは、顧客のフィードバックを瞬時に解析し、適切な対応を提供する。
たとえば、アンケート結果やコンタクトセンターでのやりとりを分析し、顧客の不満を察知した上で、必要に応じて個別対応を行い、より良い顧客体験の提供を支援する仕組みになっている。
また、スポーツイベントでの活用例も示された。
試合中にフードサービスの遅延に関するフィードバックが寄せられた場合、Experience Agentsは即座に状況を把握し、適切な対応を案内できる。
この機能により、企業はリアルタイムでの顧客対応を強化し、ブランド価値の向上を図ることが可能だ。
※インタラクション:ユーザーや顧客とシステムのやり取りを指す。ビジネスの文脈では、顧客対応やカスタマーサポートの一環として使われることが多い。
今後の展望とAIエージェントの課題
Qualtricsは、Experience Agentsのさらなる進化に向け、顧客のニーズを予測する技術の開発を進めている。過去のやりとりや業界データを活用し、顧客が求める情報を事前に提示する仕組みの構築を目指す。
これにより、企業は顧客対応のプロアクティブ化を実現し、満足度の向上につなげることができる。
一方で、AIによる顧客対応が進化するにつれ、倫理的な課題も浮上している。
Qualtricsはこうした懸念に対応するため、AIの透明性や安全性を確保する「Trust Center」を設置した。AIの判断基準やデータの取り扱いに関する情報を公開し、企業が安心して導入できる環境を整えていく方針だ。
一方で、AIの誤判断によるリスクや、データプライバシーの問題も無視できないだろう。
今後、QualtricsのExperience Agentsが市場における顧客対応を革新し、競争力を高めることができるか注目される。