Google、AI搭載の衛星「FireSat」打ち上げに成功 山火事の早期検出を目指す

Googleは2025年3月17日、山火事の早期発見を目的とした衛星コンステレーション「FireSat」の第一号機を打ち上げ、地球とのコンタクトに成功した。FireSatは5メートル四方の小規模な山火事を検出可能な高解像度センサーおよびAI機能を搭載する衛星であり、特にグローバルな山火事の検出を進歩させる可能性を秘めている。
次世代技術で山火事検出の精度を向上
FireSatは、カリフォルニア州バンデンバーグ宇宙軍基地からSpaceXのTransporter-13ミッションで打ち上げられた。FireSatは、最先端のAI技術とセンサーを統合することで、5メートルという高解像度の画像を全球規模で20分ごとに更新し、小規模な火災を迅速に捉える能力を持つ。
衛星に搭載された人工知能は、現在の画像を過去のデータと比較しながら、地域の気象条件やインフラ情報も考慮に入れて火災を正確に識別する。また、マルチスペクトル赤外線カメラ(※)により、誤検知を排除した信頼性の高い検出が可能となった。
このプロジェクトは、2021年のカリフォルニア州での壊滅的な山火事を契機としている。既存の衛星画像が持つ解像度不足や更新頻度の低さという課題を克服し、より実践的な山火事対策を目指している。
※マルチスペクトル赤外線カメラ:複数の波長帯の赤外線を同時に観測できるカメラ技術。通常の可視光では捉えられない熱異常や特定物質の分布を検出することができ、山火事のような熱源を精密に特定するのに適している。
連携と今後の展望
FireSatの開発には複数の組織が携わっている。
Google Researchが山火事検出のためのAI開発を主導し、Muon Spaceが衛星の設計・構築を担当。Earth Fire Allianceがコンステレーションの運用と積極的な山火事管理の推進を行い、Moore Foundationが資金面と戦略面でのサポートを提供するという体制だ。
資金面では、Google.orgがAI Collaborative: Wildfiresイニシアチブを通じて1300万ドルを拠出しており、これにMoore Foundationからの支援も加わっている。
完成したFireSatコンステレーションは、2026年までに50機以上に拡張される予定であり、短時間での再訪が実現するとのことだ。
このシステムは対応時間の短縮によるコミュニティ保護、早期介入による温室効果ガス排出量の削減、科学研究や生態系レジリエンスのためのデータ提供など、多方面での効果が期待されている。
世界的に増加する山火事の脅威に対し、最先端技術を駆使した新たな対策の幕開けとなるだろう。