NTT DXパートナー、「DXSTAR for Bank」提供開始　地域企業のDX推進を支援

NTT DXパートナーは2025年3月17日、金融機関向けDX支援プラットフォーム「DXSTAR for Bank」の提供を開始した。地域金融機関を通じて非金融領域の地域企業にDX（デジタルトランスフォーメーション※）を支援することを目的としている。
これにより、地域経済の活性化を図る狙いだ。

「DXSTAR for Bank」が提供する具体的な支援

本プラットフォームの主要機能の一つが「DX推進ポータルサイト」である。
金融機関ごとのブランドで展開できるサイトを短期間で構築し、企業がDXに関する情報を収集しやすくする仕組みとなっている。
また、企業ごとのDX診断ツールを備え、デジタル成熟度を可視化することで段階的な支援を可能にする。

もう一つの機能は「共創コミュニティの構築支援」だ。
企業同士が自律的に学び合い、DX推進に関する実践知を共有できる環境を整えることで地域全体のデジタル化を促進する。
これにより、金融機関は単なる融資の提供者ではなく、地域企業の成長を後押しするパートナーとしての役割を強化することができる。

このシステム開発の背景には、日本社会が直面する深刻な課題がある。
多くの中小企業がDXの重要性を認識しながらも、十分に取り組めていないのが現状だ。総務省の調査では、約70%の中小企業がデジタル化に関する施策を未実施と回答している。

こうした状況を踏まえ、金融機関がDX支援を担うことで、企業の成長だけでなく地域経済全体の競争力向上につながると期待されている。地域金融機関にとっても、新たな企業支援の手段として注目される取り組みとなる。

地域経済活性化に向けた今後の展開

NTT DXパートナーは近日中にオンラインコミュニティ機能を追加予定だが、その実効性が鍵を握るだろう。企業同士の交流を促す仕組みがうまく機能すれば、DXのノウハウが蓄積され、長期的なエコシステムが形成される可能性がある。

また、DX推進には単なる情報提供にとどまらず、実務レベルでの支援が不可欠だ。
たとえば、金融機関が専門家を招いた個別コンサルティングや実践型ワークショップを実施することで、より具体的な支援が可能となる。
加えて、デジタル化の効果が見える形で示されれば、他の企業の参加意欲も高まると考えられる。

中長期的には、「DXSTAR for Bank」の利用データを活用した分析機能の強化も期待される。企業のDX進捗を可視化し、最適な支援策を提案できるようになれば、金融機関にとっても新たなビジネス機会となるだろう。

今後、NTT DXパートナーは、本プラットホームを全国の金融機関に提供し、導入の拡大を図る方針だ。各地域で蓄積される知見を基に、さらなる機能拡充を進めるとともに、地域産業を支える持続可能なDXエコシステムの構築を目指していく。

※DX（デジタルトランスフォーメーション）：デジタル技術を活用し、業務プロセスやビジネスモデルを革新する取り組み。企業の競争力向上や市場変化への適応を目的とする。