Zoom、自律的タスク処理可能な「エージェント型AI」をアップデート予定

米Zoom社は2025年3月17日、会議中の発言からタスクを自動検出し実行する「エージェント型」AI Companionを2025年3月末にリリースすることを発表した。この進化により、ユーザーは会議を要約するだけでなく、スケジュール調整やドキュメント生成などを自動化し業務効率を向上させることが可能となる。
自律的タスク管理と情報共有を強化する新機能
今回のアップデートにより、ZoomのAI機能であるAI Companionに、会議中の発言を検知してタスクを自動実行する機能が追加される。例えば、「来週フォローアップの打ち合わせをしよう」といった会話からスケジュール調整を行うなど、これまで人手で行っていた作業を自動化することができるという。
3月末にはこの機能専用の「タスク」タブが追加され、Zoom内でのタスク管理が効率化されることになった。
また、2025年5月にはミーティングや通話中にリアルタイムで要約を生成する「ライブノート」機能が追加される予定である。これにより、会議に遅れて参加したメンバーでも迅速に議論の流れを把握できるようになると考えられる。
企業向けには、4月から月額12ドルで「Custom AI Companionアドオン」が提供される見通しだ。このアドオンを活用すれば、カスタムアバターの設定や企業独自のAIバージョン生成が可能となる見込みだ。
期待される影響と課題
エージェント型AIの導入により最も期待されるのは業務効率の向上である。情報収集や整理といった反復作業をAIが自律的に行うことで、単純作業の手間が軽減される。
また、自動生成される会議要約やアクションアイテムにより、不参加者への情報共有も円滑化されることが期待されている。
一方で課題も存在する。AIが自律的に意思決定を行う場合の責任の所在が不明確である点や、セキュリティとプライバシーが懸念点として残っている。この点についてZoomは、顧客の音声やビデオなどのデータをAIモデルのトレーニングに使用しないと明言し、プライバシー保護を重視する方向性を打ち出している。
多言語対応も強化されており、30以上の言語での文字起こし翻訳と16言語でのローカライズにより、グローバルチームのコラボレーションを促進している。
また、AI倫理の観点からは情報源の引用提供などにより透明性確保に努めているところである。
近頃、これまでのAIサービスより自律的にタスクを行うAI、エージェントAIが、現在AI業界でトレンドとなっており、先日はMicrosoftが営業に特化した自律型AIサービスを発表するなど、各社が独自のサービスを発表している。
Zoomの今回の発表も、エージェントAIの流行を反映したものと思われる。
今後も、IT各社がより自律的なサービス開発に着手していくことが予想される。