JTBグループ、生成AIを活用した新たな観光動画広告プロモーションを発表

2025年3月17日、JTBグループのJTBコミュニケーションデザイン(JCD)は、PR・広告事業を手掛けるベクトルと共同で、生成AIを活用した観光向け動画広告プロモーション「Insight Finder for Tourism(IFT)」を発表した。
この新サービスは、ウェブデータと生成AIを駆使してターゲットに最適な動画広告を配信し、観光地への誘客を促進することを目的としている。
生成AIとウェブデータ解析で実現する高度なターゲティング
IFTは、JCDが提供するツーリズム業界特化型ウェブサイト解析ツール「AIアナリストforツーリズム(AIT)」と、ベクトルの動画広告配信サービス「NewsTV」のノウハウを組み合わせたものである。
AITは、ウェブサイトの訪問データやユーザーの行動を解析し、関心度の高いペルソナ(※)を設定する。これにより、高精度なターゲティングが可能となる。
さらに、観光関連サイトのデータを基に、生成AIが潜在顧客の嗜好を抽出し、視聴者に響く動画広告コンテンツを提案・制作する。配信後は効果を分析し、次のターゲット層やエリアを提案することで、継続的なマーケティング効果の向上を図る。
IFTの効果を検証するため、兵庫県尼崎市のあまがさき観光局のウェブサイト「ジョーのある町 尼崎」でテストマーケティングが実施された。AITから抽出したデータを生成AIで分析し、仮説を設定した上で動画を配信した結果、高い効果が確認された。
具体的には、ターゲット層に応じた動画配信により、視聴率や視聴完了率が向上した。
この結果は、生成AIを活用した高度なターゲティングとコンテンツ制作が、観光プロモーションにおいて有効であることを示している。
今後の展望
今後、IFTのような生成AIを活用したプロモーション手法は、観光業界全体で普及していくと考えられる。
特に、個々の旅行者の嗜好に合わせたパーソナライズドコンテンツの提供が可能となることは、顧客満足度の向上やリピーターの獲得につながるはずだ。
また、リアルタイムでのデータ分析と即時対応は、市場の変化やトレンドに柔軟に対応できる体制が整えられるだろう。
しかし、技術の進化とともに、データプライバシーの保護やAIの倫理的な利用に関する議論も重要性を増すと予想される。これらの課題をクリアしつつも、技術と人間の創造性を融合させた新たな観光プロモーションの形が求められる。
※ペルソナ
マーケティングにおいて、典型的なユーザー像を具体化した仮想の人物像。