Roblox、新たな3Dオブジェクト生成AI「Cube 3D」を発表

2025年3月17日、米国のオンラインゲームプラットフォームであるRobloxは、テキストプロンプトから3Dオブジェクトを生成するAIモデル「Cube 3D」を発表した。
このオープンソース(※1)の技術は、ゲーム開発者が迅速かつ効率的に3Dコンテンツを作成する手助けとなることが期待されている。
Cube 3Dの技術的特徴と提供される機能
Cube 3Dは、テキストプロンプトから直接3Dモデルや環境を生成する能力を持つAIモデルである。 従来の技術では、2D画像を使用して3Dオブジェクトを再構築するアプローチが一般的であったが、Robloxはネイティブな3Dデータでモデルをトレーニングしているため、生成されたオブジェクトはゲームエンジンとの完全な互換性がある。
さらに、Cube 3Dは3Dオブジェクトをトークン化(※2)し、形状をトークンとして理解する能力を持つ。 これにより、AIは次に来るべき形状トークンを予測し、完全な3Dオブジェクトを構築することが可能となる。
現在、β版のメッシュ(※3)生成APIがRoblox Studio内およびゲーム内Lua(※4) APIとして提供されており、開発者は「/generate a brown moto leather jacket」や「/generate orange safety cone」といった簡単な指示で、数秒で3Dオブジェクトの基本的な形状を生成することが可能である。
ゲーム開発への影響と今後の展望
Robloxは、Cube 3Dの将来的な進化として、画像入力からのオブジェクト生成を可能にし、最終的にはオブジェクト間の相互作用を含む「4Dの世界」の創造を目指している。開発者はより複雑で機能的なオブジェクトやシーンを生成することが可能となるだろう。
さらに、プレイヤー自身がテキスト入力でゲーム内で欲しいものを具現化できるようになる可能性も示唆されている。 たとえば、プレイヤーが「赤い未来的な車」と入力すれば、AIがそれを生成し、ゲーム内で使用できるようになる見込みだ。
Cube 3Dは、将来的に画像や動画など多様な入力形式に対応するマルチモーダルモデルへと進化する見通しだ。 これにより、より複雑でリアルな3Dシーンの生成が可能となり、ゲーム内の没入感が一層高まることが期待される。
さらに、プレイヤー自身がテキスト入力でゲーム内アイテムを生成できるようになることで、ユーザーエクスペリエンスの向上が見込まれる。
ただし、AIの進化に伴い、ゲーム開発者の役割やスキルセットの再定義が必要となる可能性がある。 また、AI生成物の品質管理や著作権問題など、新たな課題への対応も求められるだろう。
総じて、Cube 3Dの導入はゲーム開発の革新を促進する一方で、クリエイターや業界全体が新たな変化に適応する必要性を生じさせると考えられる。
※1 オープンソース:ソフトウェアのソースコードを一般に公開し、誰でも利用、改良、再配布できるようにすること。
※2 トークン化:データを意味のある最小単位(トークン)に分割すること。自然言語処理や機械学習で使用される。
※3 メッシュ(3D):コンピュータグラフィックスにおいて、物体の表面を多角形の集合で表現したもの。
※4 Lua:軽量なスクリプト言語で、ゲーム開発などで広く使用される。