スタンダードチャータード、イーサリアムの2025年価格予測を60%下方修正 下降傾向を反映

2025年3月17日、英国の大手金融機関スタンダードチャータードが顧客向けのレターで、イーサリアム(ETH)の2025年価格予測を1万ドルから4000ドルへと60%下方修正したと報じられた。レイヤー2ソリューションにより価値が分散化していることが主な要因となっている。
二次ネットワークの台頭がイーサリアムの価値に影響
スタンダードチャータードのアナリスト、ジェフリー・ケンドリック氏は「イーサリアム:ミッドライフクライシス(中年の危機)」と題したレポートで、イーサリアムが直面する課題を分析した。
ケンドリック氏によれば、イーサリアムのエコシステム内で成長しているレイヤー2(※)ソリューション、特にコインベースが開発したBaseが、イーサリアムの価値を大きく奪っており、Baseだけでイーサリアムの時価総額から約500億ドルが流出していると推計されている。
また、過去数年間のイーサリアムの主要な技術変更は「必要だったかもしれないが、価値を破壊してきた」と評価されている。特に2022年に行われたシステム基盤の大規模な変更(「マージ」と呼ばれる省エネルギー型への移行)や、2023年の技術的改良(「デンクン」アップグレード)により、本来イーサリアム自身が得るはずだった利益が、二次的ネットワークに流れている状況になっていると指摘された。
元となるイーサリアムのネットワークが改善したことで、二次的ネットワークの効率が上昇し、競争率が上がってしまったのである。
※レイヤー2:ブロックチェーンのスケーラビリティ問題を解決するための技術で、メインチェーン(レイヤー1)の上に構築された二次的なネットワーク。処理速度の向上と手数料の削減を実現する。
長期的には価値回復の可能性も
短期的には、レイヤー2の影響でイーサリアムメインネットの「GDP」(ネットワーク内で生成される経済価値)は低下し、手数料も減少し続けるとケンドリック氏は予測している。
イーサリアムは現在も分散型金融(DeFi)資産の総ロック値の50%以上、ステーブルコインの57%など、複数の指標で優位性を保持しているものの、その優位性は徐々に低下傾向にあることは否めない。イーサリアムの価格は、2024年12月の高値4,107ドルから52%以上下落しており、TradingViewのデータによると、2025年の年初から42%の下落となっている。
ただ、下落トレンドがいつまで続くかは意見が分かれているようだ。ケンドリック氏は、2025年の価格予測を大幅に引き下げる一方で、2028年から2029年にかけてイーサリアムが時間の経過とともに価値を回復し、7500ドルに達する可能性を示唆している。ただし、手数料構造や市場ポジショニングに根本的な変化がなければ、ETH/BTCの比率は2027年までに0.015まで低下するリスクも併せて指摘されている。
イーサリアムの将来的な価値回復には、トークン化された実物資産(RWA)市場の拡大や、技術的アップグレードが鍵を握る可能性がある。これらの改善により、スケーラビリティや手数料の仕組みが改善される可能性があるが、短期的な価格下落リスクには引き続き注意が必要だろう。