ソフトバンク、シャープ堺工場の一部を約1000億円で買収 AIデータセンター構築へ

ソフトバンクは2025年3月14日、大阪府堺市にあるシャープ堺工場の土地および建物の一部を、約1000億円でシャープと売買契約を締結し取得したと発表した。この買収は、同社がAIデータセンターを構築するための戦略的な動きであり、2026年中の稼働開始を目指している。将来的には受電容量を拡大し、大学や研究機関、企業への設備提供を計画している。
買収の背景とデータセンターの概要
シャープ堺工場は2009年に設立され、主にディスプレイパネルの生産を担ってきた。しかし、液晶市場の低迷により2024年5月に生産停止が発表され、工場の今後が注目されていた。
こうした状況の中で、ソフトバンクはAI技術の発展を見据え、同施設を活用したデータセンター構築を決定した。
今回の買収対象となる土地の面積は約45万平方メートル、建物の延べ床面積は約84万平方メートルに及ぶ。
この広大な敷地を活用し、初期段階では受電容量150MWのAIデータセンターを建設し、2026年中の稼働を予定している。
さらに、今後の事業拡大に伴い受電容量を250MW超に増強する計画も進められている。
AI関連事業への活用と市場への影響
ソフトバンクのAIデータセンターは、同社の生成AI開発やAI関連事業の推進に不可欠なインフラとなる。
また、大学や研究機関、企業にも設備を提供し、産業の高度化を支援する方針だ。
加えて、AI技術を活用した産業集積地の形成も構想されており、新たな経済圏の創出が期待される。
また、遊休化しつつあったシャープ堺工場を再活用する点も意義深い。これにより、地域経済の活性化や雇用創出にもつながることが期待される。さらに、既存のインフラを活用することで、新たな土地開発を行うよりも環境負荷を抑えつつ、大規模データセンターを短期間で構築できる点も利点だ。
受電容量の拡大計画も、今後の需要増加を見据えた柔軟な対応と言える。
一方で、AIデータセンター市場は競争が激化している。
米国ではマイクロソフトやグーグルが巨額の投資を行っており、日本国内でもNTTや楽天などが事業を拡大、KDDIも同地域においてAIデータセンターの構築を進めている。
ソフトバンクがこれらの競合と差別化を図れるかが成否を分けるポイントとなるだろう。
さらに、AI技術の進化スピードが速いため、現在の計画が数年後には陳腐化するリスクも否定できない。
このような環境下で、ソフトバンクがどのように競争力を確保し、市場をリードするのかが注目される。