共同通信、グーグルと契約　生成AI「Gemini」にニュース提供開始

2025年3月14日、共同通信社は米グーグルとの契約を発表した。
契約の内容は、同社の対話型生成AI「Gemini」にニュースコンテンツを提供するというものだ。この契約は2025年4月から開始され、日本語、英語、中国語の3言語でニュースが提供される予定である。生成AIの発展が進む中、メディア業界の競争環境にも影響を及ぼす可能性があり、今回の提携はその動向を示す重要な事例になる可能性もある。

共同通信とグーグルの提携の背景

共同通信社は1945年設立の日本の主要報道機関であり、国内外のニュースを取材・配信している。近年、生成AI技術の急速な発展により、メディア業界におけるニュースの提供方法が大きく変化してきた。特に、対話型AIによるニュース配信は、ユーザーが求める情報を瞬時に届ける手段として注目されている。

グーグルの「Gemini」は、こうした生成AIの進化を象徴する技術のひとつである。
同社は既にAIを活用した検索エンジンの改善やコンテンツ配信の最適化を進めており、信頼性の高いニュース提供のためにメディアとの連携を強化している。今回の共同通信との契約も、その一環と考えられるのではないか。

今回の契約では、共同通信社が持つニュースコンテンツを「Gemini」に提供し、その情報がアプリ内での回答の質を高める役割を果たすとされる。対象言語は日本語、英語、中国語であり、グローバルな視点でニュースを届ける狙いがある。契約額は非公表だが、メディアの信頼性確保とコンテンツの価値向上が目的とされている。

メディア業界への影響と今後の展望

共同通信社の水谷亨社長は、今回の契約について「ニュースコンテンツの価値が尊重され、信頼性の高いニュースを提供することで社会の情報環境の向上に寄与できる」との考えを示している。
生成AIが拡大する中、信頼性の確保はメディア業界にとって重要な課題であり、その点で今回の契約は注目されるだろう。

一方で、生成AIの進化による影響は、メディア業界全体の競争にも波及する可能性も考えられる。現在、多くの報道機関がAI技術を活用したコンテンツ配信を模索しており、ニュースの提供形態が変化している。
既に欧米では、AIを活用した記事作成やニュース配信が進んでおり、日本国内でもこの流れが加速することが予想される。

共同通信社にとっては、今回のグーグルとの提携が今後のAI戦略を強化する契機となる可能性もあるだろう。今後生成AIとの連携を深めることで、ユーザーに対し、より迅速かつ正確なニュース提供を実現する道が開かれるのではないだろうか。