JR東海、AI活用で踏切信号の視認性を自動判定するシステムを開発

2025年3月5日、JR東海は列車から撮影した映像をAIで解析し、踏切の特殊信号発光機の視認性を自動的に判定するシステムを開発したと発表した。
このシステムは2025年度から試験導入され、2026年度以降の本格運用が予定されている。
踏切信号自動判定システムの導入背景と詳細
現在、踏切の特殊信号発光機の視認性確認は、作業員が定期的に目視で行っている。しかし、草木の成長や天候条件により視認性が低下することがあり、これが安全性の課題となっていた。
この問題を解決するため、JR東海はAI技術を活用した自動判定システムの開発に着手した。
新システムでは、列車の運転台に設置されたカメラが走行中に前方の状況を撮影し、その映像をAIが解析する。AIは進行方向に応じた特殊信号発光機を検出し、視認性を自動的に判定する仕組みだ。
これにより、視認性の低下を早期に検知し、迅速な対応が可能となる。
加えて、AIが検知したデータはクラウド上に保存され、異常が確認された場合には管理センターへリアルタイムで報告される仕組みが整備されている。このデータを活用することで、異常発生箇所の特定が迅速化し、より効率的な保守作業が可能となる。
JR東海は2025年度からこのシステムの試験導入を開始し、2026年度以降の本格運用を目指している。
システムの導入により、踏切の安全性が向上するとともに、夜間の検査作業員の負担軽減につながるとが期待されている。また、AI技術の進化により、将来的にはさらに精度の高い判定が可能になると見込まれている。
他社の取り組みと今後の展望
踏切の安全性向上に向けた取り組みは、他の鉄道会社でも進められている。
たとえば、名古屋鉄道はAI画像解析装置を導入した踏切監視システムの運用を開始しており、踏切内外の異常検知の精度を高めている。
また、海外の鉄道事業者でもAIを活用した踏切監視システムが導入されている。
欧州の一部の鉄道では、AIを搭載したドローンを活用し、踏切の安全状況を広範囲に監視する取り組みが進行中だ。遠隔からの監視が可能となることで、人的リソースの最適化が実現できる。
JR東海は今後、試験導入の結果を踏まえ、システムの精度向上や他の安全対策との連携を進めると思われる。鉄道全体の安全性と信頼性がさらに高まるだろう。