NEC、5Gサービス強化のための仮想化基地局「vRAN」を商用化

NECは2025年3月3日、5G対応の仮想化基地局（vRAN）向けソフトウェアを開発し、商用化したと発表した。

この新技術は国内外の通信事業者に提供され、2026年度までに5万局以上の展開を目指している。

通信ネットワークの進化に伴い、より高度な通信技術の開発と普及が求められる中、NECのvRAN技術はその重要な一翼を担うものと考えられる。

vRANの特徴と技術的詳細

vRANは、5Gサービスの高機能化と運用コストの最適化を実現する技術である。柔軟なネットワーク設計が可能で、エリア展開の加速にも寄与している。

仮想化によるリソース再配置により、最大約65％の消費電力削減が実現できる。

また、環境負荷の軽減にも貢献しており、リモート管理機能の強化による通信事業者の運用効率向上が期待されている。

NECのvRANは、O-RAN ALLIANCEの仕様に準拠したキャリアグレードのネットワーク品質を提供する。完全コンテナ化されたクラウドネイティブなアーキテクチャを採用し、大規模な商用利用実績のある5Gハードウェア技術を基盤としている。

また、クアルコムの「Dragonwing X100」アクセラレーターを活用し、高速かつ大容量の通信を実現している。さらに、ネットワークの分散配置が可能であり、地域ごとのトラフィック需要に応じた柔軟な対応ができる。

今後の展望と市場への影響

NECは、5G Advancedや6Gを見据えたネットワークの高機能化や、多様なサービス要求に応じた高い拡張性、柔軟性を備えたネットワークの提供に取り組んでいる。

同社のソフトウェアを活用することで、モバイルインフラ全体の構築工数を約70％短縮し、迅速な5Gネットワークの商用展開が可能になるとしている。

また、O-RAN技術を活用することで、異なるベンダーの機器との相互運用性を確保し、より開かれたネットワーク環境の構築が進むと見られる。

このvRANの商用化により、通信事業者はネットワークの柔軟性と効率性を向上させることができ、業界全体にポジティブな影響をもたらすと考えられる。

さらに、5Gネットワークの普及が加速することで、新たな通信インフラのモデルが確立され、エンタープライズ向けの用途拡大も期待されている。

NECのvRANは、今後の通信インフラの進化において重要な役割を果たすだけでなく、国際的な競争力を高める技術としても注目されている。