未来のコンピュータサイエンス:プログラミングの終焉とAIの台頭
AI技術の進化がコンピュータサイエンスを変革すると考えるMatt Welsh氏は、AIスタートアップFixie.aiのCEOで、博士号取得やハーバード大学教授など豊富な経歴を持ちます。そんな彼が、1947年に創設された世界最大の科学的かつ教育的なコンピュータ学会である通称ACMの学会誌で、プログラミングとAIに関した View Point が取り上げられました。この記事では、彼が予測する未来のコンピュータサイエンスと現在の影響について探ります。
プログラミングの終焉
現在のコンピュータサイエンスは、データ構造やアルゴリズム、プログラミング言語などを中心に据えていますが、そのような古典的なプログラミング技術が時代遅れになると予測しています。近い将来、特定のタスクを実行させるために人間がプログラムを書く代わりに、AIモデルが訓練されることで、タスクを達成することが可能になるでしょう。GitHubのCoPilotのようなAIコーディングアシスタントが、プログラマーの役割を置き換えるだけでなく、プログラムそのものをAIが生成する時代が訪れるとされています。
既に日本でもその予測を実感させるものがいくつかあります。作ってほしいアプリを書くだけでChat GPTにアプリを約30秒で作って即公開してくれるサービス「GPTApp」です。
教育としてのAIモデル
従来のコンピュータサイエンスがプログラムに焦点を当てていたのに対し、今後はAIモデルの教育が重要になります。大規模なAIモデルを活用することで、人間が直接指示することなく、AIがタスクを学習し実行することができるようになるでしょう。例えば、GPT-3のような巨大なAIモデルは、わずかな例示を通じて多くのタスクを学習し実行できます。これにより、コンピュータサイエンスは従来のプログラミング技術から、AIモデルをどのように教育するかという新しい知識やスキルが求められる分野へと変化していくでしょう。
フォン・ノイマン型の計算機構造
ここで現在も使われる計算機構造について解説します。フォン・ノイマン型の計算機構造は、1940年代に数学者・物理学者のジョン・フォン・ノイマンによって提案された、コンピュータの設計原理や構造の一つです。このアーキテクチャは、現代のほとんどのコンピュータにも適用されており、以下の主要な概念から成り立っています。
- 記憶装置(メモリ): データやプログラム(命令)を格納するための記憶領域です。フォン・ノイマン型の計算機構造では、プログラムとデータが同じメモリ空間に格納されるという、いわゆる「プログラム内蔵方式」が採用されています。
- 演算装置(ALU: Arithmetic Logic Unit): 演算装置は、四則演算や論理演算などの基本的な計算を実行するためのコンポーネントです。
- 制御装置(CU: Control Unit): 制御装置は、メモリから命令を取り出し、それを実行するために必要な操作を指示し、演算装置と連携してプログラムの実行を制御します。
- 入力装置: キーボード、マウス、タッチスクリーンなど、ユーザーや外部デバイスからのデータ入力を受け付けるための装置です。
- 出力装置: ディスプレイ、プリンター、スピーカーなど、計算結果や処理結果をユーザーや外部デバイスに伝えるための装置です。
フォン・ノイマン型の計算機構造は、データとプログラムを同じ記憶領域に格納することで、柔軟で効率的な計算処理が可能となりました。そのため、現在でも多くのコンピュータや電子機器で採用されています
新しい計算の基本単位
従来のコンピュータサイエンスは、フォン・ノイマン型の計算機構造を基本としていましたが、AIが中心となる新しい時代では、大規模なAIモデルが新たな計算の基本単位となります。これは、従来の予測可能で静的な計算プロセスから、適応性の高いAIエージェントを用いた計算プロセスへの大きな転換を意味します。これにより、コンピュータサイエンスの基本的な考え方が根本的に変わりつつあります。
理解できないAIモデルの謎
現在の大規模なAIモデルは、その仕組みが完全には理解されていないため、研究者たちは既存のAIモデルから新たな振る舞いや能力を発見しています。これは、AI技術がますます進化し、コントロールが難しくなることを意味しており、AIが制御不能になるリスクが高まっています。
コンピュータサイエンスの再定義
このような技術のシフトにより、コンピュータサイエンスの分野も再定義されることが予想されます。従来のプログラムやシステムを用いた研究から、AIモデルの構築や教育に焦点を当てた新しい研究分野へと変わっていくでしょう。また、従来のコンピュータサイエンスの知識やスキルが時代遅れになる一方で、AIモデルの教育や適応力を高めるための新しい知識やスキルが求められるようになります。
まとめ
AI技術の進化により、コンピュータサイエンスの分野が大きく変化することが予想されます。従来のプログラミング技術が時代遅れになり、AIモデルを教育することに重点が置かれる新しい時代が到来しています。これに伴い、コンピュータサイエンスの教育や研究も、AIモデルの教育や適応力を高めることに焦点を当てた新しい方向へと進化していくことが期待されます。
この記事を執筆するにあたり、まさに目からウロコのような考え方に触れることができました。まるでSFのような未来が現実になるかもしれませんね。この予測が現実になれば、私たちがこれまで知っていたコンピュータサイエンスの概念が大きく変わるでしょう。
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