自民党が「デジタル・ニッポン2025」発表 過去25年の政策を反省し、「デジタル政策2.0」始動へ

2025年5月16日、自民党政務調査会デジタル社会推進本部は、日本のデジタル政策の新方針「デジタル・ニッポン2025」を公表した。過去四半世紀の成果と課題を総括し、「次の100年」に向けた抜本的見直しと実行強化を打ち出している。
「デジタル政策2.0」始動 自民党が反省と改革を掲げた理由
今回発表された「デジタル・ニッポン2025」は、日本のデジタル政策を根本から再構築する計画である。
策定にあたっては、60回に及ぶ会議と80社以上の民間ヒアリングが行われ、現場の声を丁寧に吸い上げた形だ。主導したのは、初代デジタル大臣を務めた平井卓也議員であり、長年のデジタル行政に携わった立場からの総括でもある。
発表の背景には、過去25年のデジタル政策に対する厳しい自己評価があるようだ。
実際に、インターネット普及や行政のオンライン化といった成果はあるものの、スピード感や国際的な競争力の欠如など、後れを取った分野も少なくない。
「デジタル政策2.0」では、こうした反省を踏まえ、デジタル庁の権限強化が提案されている。
さらに、専門人材の確保や予算増強など、人的・財政的リソースの再配分も盛り込まれている。
国家として「世界と戦える」デジタル機関を築くという明確な目標が掲げられた。
今後の展望
明確な方針が示された「デジタル・ニッポン2025」だが、現時点ではあくまで方針が示された段階に過ぎず、今後1〜2年の実行プロセスが成否を左右すると見られる。
特にデジタル庁の権限強化については、省庁間の縦割り構造を打破できるかどうかが鍵となるだろう。
これが実現すれば、行政手続きの自動化やAI活用の加速にもつながる可能性がある。
また、デジタル人材の確保には、日本国内だけでなく海外人材との競争も視野に入れる必要があるだろう。英語対応の行政インフラや、柔軟な働き方制度の導入が急がれる局面だ。
そうした体制整備が進めば、グローバル人材の流入やスタートアップ支援にも好影響を与える可能性がある。
ただし、利権構造や既得権益層の抵抗が顕在化すれば、改革のスピードは鈍化しかねない。そのため、制度設計と同時に、改革を支える世論形成や政治的コンセンサスの醸成が必要不可欠となるだろう。
総じて、今回の提言はスタートラインに過ぎず、「デジタル政策2.0」の本質はこれからの“実行力”にかかっていると言えよう。