三井住友カードが描く未来型スーパーアプリ「AI-Olive」構想の全貌

2025年5月15日、三井住友カードが発表した「AI-Olive」は、既存の金融アプリ「Olive」を進化させる構想として注目されている。ソフトバンクとの包括提携を起点に、AIによるパーソナライズや非金融サービスとの統合を進め、生活全体を支援する“未来型スーパーアプリ”の実現を目指している。

ソフトバンクとの提携が加速させるAI-Oliveの機能進化とパーソナライズ

三井住友カードが手がける個人向け金融アプリ「Olive」は、新たな構想「AI-Olive」によって大きく進化する見通しである。この構想は、5月15日のソフトバンクとの包括提携の中で明らかにされた。
発表の場で登壇した大西幸彦社長は、「AI-Olive」は単なる金融アプリではなく、個々のユーザーに最適化された体験を提供する“スーパーアプリ”へと成長していくと語った。

今回の提携によって、OliveとPayPayはアプリ上でのシームレスな連携を進めていく。
たとえば、VポイントとPayPayポイントの相互交換が可能になり、ユーザーは日常の決済でより柔軟なポイント活用ができるようになる。
また、ソフトバンクが保有するヘルスケアサービスを活用し、非金融分野にも展開を広げることが示唆された。

AIの導入も大きな柱だ。ソフトバンクはコールセンター、データ分析、与信審査などの領域で高度なAI技術を提供。特に、コールセンターには自律思考型AIが導入され、音声による問い合わせ対応が実現する。この技術は24時間対応を可能とし、ユーザー満足度の向上に寄与する見込みである。

また、大西社長が繰り返し強調したのは「パーソナライズ」の重要性である。AIがユーザーの行動や資産状況を分析し、一人ひとりに合った情報や選択肢を提示する機能が実装される予定だ。
たとえば、口座残高が一定額を超えた際に「住宅ローンの繰り上げ返済」や「NISAによる投資提案」が表示されるなど、個別最適化が図られる。

「AI-Olive」が描く金融の先へ　生活インフラを統合するアプリの未来

「AI-Olive」が目指すのは、もはや金融アプリの枠を超えた“生活全体の最適化”である。すでに進行中のマネーフォワードとの連携では、他行口座やクレジットカードの利用履歴を統合表示する機能が開発されており、ユーザーは複数の金融資産を一元的に把握できるようになる。これにより、収支管理や資産運用が一層効率化されると期待されている。

一方で、個人情報の取り扱いについての透明性や信頼性も問われるようになる。AIによる判断の妥当性や、データ管理の安全性が確保されなければ、ユーザーの信頼を失いかねないため、技術的な透明性と倫理的配慮が不可欠となる。

「AI-Olive」は単なるアプリの機能強化ではない。三井住友カードが金融テックの未来をどのように捉えているかを体現するプロジェクトであり、生活のインフラとなる“次世代のプラットフォーム”としての姿を現しつつある。