ケルヒャーとスカイコードが「空飛ぶ高圧洗浄機」で提携 高所清掃に革新をもたらす技術の社会実装へ

2025年5月14日、ケルヒャージャパンとスタートアップ企業スカイコードが、高圧洗浄ドローンの社会実装を目指して提携したと発表した。ケルヒャーの高圧洗浄機をドローンに搭載し、「空飛ぶ高圧洗浄機」を実現する。
清掃の概念を変える「空飛ぶ高圧洗浄機」、ケルヒャー×スカイコードの技術連携とは
今回の提携は、世界的な高圧洗浄機メーカーであるケルヒャージャパンと、ドローンソリューションを手がける日本のスタートアップ企業スカイコードによって実現された。
両社が持つコア技術を組み合わせることで、これまで人的作業に頼っていた高所での清掃を、空中から効率よく行える次世代の清掃手段へと変革する狙いがある。
中核となる技術は、スカイコードが設計・製造を担った高圧洗浄機搭載用アダプターだ。ケルヒャー製の業務用高圧洗浄機に最適化されたこのアダプターにより、洗浄能力を損なうことなくドローンへの搭載が可能となった。
さらに、対象物の材質や汚れの性質、周囲の環境に応じて、ノズルの種類、水圧の設定、飛行ルートなどを柔軟に設計できる仕組みとなっている。
この技術は、ビルの外壁や屋根、高速道路ののり面など、高所かつ複雑な地形での清掃を効率化する点に優れている。洗浄の均一性も高く、従来よりも作業時間の短縮が期待されている。
また、清掃だけでなく、除雪や除草、遮熱剤の塗布など、多用途への応用も想定されている点がユニークだ。
清掃業界の再構築へ 導入拡大に向けた課題と社会実装の行方
高所での清掃作業は、安全面とコスト面で多くの課題を抱えてきた。足場の設置には時間と人手がかかり、転落などのリスクも避けられなかった。
このような課題に対処するためには、こうした現場に対し、ドローンによる無人化清掃のニーズは年々高まっている。特に都市部やインフラ整備の現場では、清掃効率の改善と作業員の安全確保が両立できる新技術として、大きな注目を集めている。
一方で、空を飛ぶ装置に高圧水流という危険性を伴う装備を搭載することから、安全性と運用体制の整備が不可欠である。
スカイコードでは、詳細なオペレーションガイドを整備するとともに、操縦者向けの研修プログラムも提供予定としている。これにより、一定の技術水準を持つ操縦者による安全な運用を可能にするとみられる。
清掃現場の自動化は、労働力不足が深刻化する中で、建設業やインフラ整備分野において大きな意味を持つだろう。成功すれば、「空飛ぶ高圧洗浄機」は清掃業界における標準技術の一つとなる可能性がある。