グーグルワン、契約者数1億5000万人突破 AI機能の導入が奏功

2025年5月15日、米グーグルのサブスクリプションサービス「グーグルワン」の契約者数が1億5000万人を突破したことが明らかになった。AI機能の導入と戦略的な収益モデルの多様化がその急成長を支えていると見られている。
契約者数1億5000万人突破 AI機能が成長の起爆剤に
米アルファベット傘下のグーグルが展開するクラウド型サブスクリプションサービス「グーグルワン」の契約者数が、1億5000万人を超えたという。
この数値は、同社のサブスクリプション部門副社長シムリット・ベンヤイル氏によりロイターに対し公表されたもので、2018年のサービス開始以来着実にユーザー数を拡大してきた結果であると言える。
特に2024年2月時点で契約者が1億人を超えて以降、わずか1年余りでさらに5000万人を獲得したことは、サービスの飛躍的な成長を物語っている。
この急増の背景には、同年に導入された月額19.99ドルのプレミアムプランがある。これは、グーグルの生成AIサービス「Gemini」の一部機能を含むものであり、文章生成や画像編集、データ要約など多岐にわたるAI活用が可能となる。
AI機能の新規契約者は「数百万人規模」とされており、従来のストレージ中心のプランから一線を画す内容となっている。
AI機能の搭載はユーザーの利便性を高めると同時に、サブスクリプションサービスとしての魅力を飛躍的に向上させたと考えられる。単なる容量の提供から、ユーザーの日常や業務を支援するツール群へと進化を遂げている。
広告依存からの脱却へ グーグルの収益戦略と今後の展望
グーグルワンの成長は、親会社アルファベットの収益モデルの転換とも密接に結びついている。2024年時点で同社の売上の約75%は広告収入に依存しており、近年ではその依存度を下げるための多角的な戦略が進められてきた。その一環が、ストレージに加えてAI体験を提供するサブスクリプションモデルである。
一方で、生成AIサービス「Gemini」は現時点で広告との連携が進んでおらず、直接的な広告収益を生む構造にはなっていない。そのため、サブスクリプション型での課金が持続的な収益確保の鍵を握っていると言える。
こうした背景のもと、グーグルのスンダー・ピチャイCEOは、サブスクリプションサービスを今後の主軸のひとつに据える方針を明示しており、AIを中心とした機能拡張によって「ユーザーに選択肢を提供する」姿勢を強調している。
マイクロソフトやアマゾンなどといった他の大手も同様の方向性を見せており、クラウドとAIを組み合わせた課金モデルは今後さらに一般化していく可能性が高い。特にBtoB市場においては業務効率化との親和性が高く、法人契約の増加も見込まれるだろう。