Relicとドコモの「MetaMe」が提示する次世代アニメ制作モデル ファン主導型「アニメDAO」が始動

2025年5月13日、日本国内でRelicとNTTドコモが共同開発したWeb3プラットフォーム「MetaMe」にて、アニメ制作の新たな形「アニメDAO」が導入されたことが発表された。
製作委員会モデルを超える「アニメDAO」 NFTとファンコミュニティが変える制作の現場
RelicとNTTドコモが共同で展開する「MetaMe」プラットフォームにおいて、Web3技術を活用したアニメ制作モデル「アニメDAO」が始まった。
この仕組みでは、アニメの制作資金をクラウドファンディングおよびNFT(※)の販売によって調達する。特徴的なのは、従来の製作委員会方式と異なり、ファンが支援者として直接プロジェクトに参加し、投票を通じて制作方針に影響を与えることができる点だ。
DAO(Decentralized Autonomous Organization)型の運営は、透明性のある意思決定と資金運用を可能にし、中央集権的な構造に依存しない形でプロジェクトを進行させることができる。初めてNFTに触れるユーザーやWeb3に詳しくない層でも、容易に参加可能だ。
第1弾企画では、人気NFTコレクション『NEO TOKYO PUNKS』の世界観をベースに、2050年のネオ東京を舞台とした近未来アニメが制作される。
完成後は、「MetaMe」で先行配信されたのち、ドコモの「dアニメストア」で独占配信が行われる見通しだ。
登場キャラクターやマシンは、NFT連携型のブロックチェーンレーシングゲーム『GT6551』でも使用可能となっているため、視聴体験からゲームプレイ、NFT収集までを一気通貫で楽しめる仕組みが整えられている。
※NFT(Non-Fungible Token):ブロックチェーン上で発行される唯一無二のデジタル資産のこと。改ざんや複製が困難で、デジタルアートやゲームアイテムの所有権を証明する用途で広く用いられている。
アニメ×Web3×ゲームがつなぐ次世代のエンタメ体験 拡張する世界と今後の展望
「アニメDAO」のようなWeb3ベースの制作モデルは、今後のエンタメ業界において一つの流れになる可能性がある。特に、ファン主導のクリエイション文化や、共感経済を背景にしたプロジェクトはZ世代・α世代との親和性が高く、一定の支持を集めると考えられる。
ただし、今後の普及には二つの条件が必要になるだろう。
一つは、DAOのガバナンス構造が洗練されることである。安定した意思決定ができなければ、ファンコミュニティが分裂し、プロジェクトの失速を招くだろう。
もう一つは、NFTが単なる資金調達ツールではなく、所有者に実質的なメリットを与える設計の構築だ。単なる「投資」ではなく、参加者が「体験の一部」として価値を感じられる仕組みづくりが鍵となるだろう。
長期的には、ドコモのような大手企業が参入していることから、このモデルが法人向けにも拡張される可能性がある。たとえば、IPホルダーとの提携や、既存作品のDAO再構築なども視野に入るかもしれない。
一方で、Web3市場全体の信頼性が損なわれるような事件(詐欺・情報流出など)が起きた場合、プロジェクト全体の信頼にも波及するため、規制と技術の両面からの健全化が重要になるだろう。