トランプ政権、8月までに暗号資産規制法案に署名か ホワイトハウス関係者が「Consensus 2025」にて見通し示す

2025年5月15日、米国トロントで開催されたWeb3・暗号資産カンファレンス「Consensus 2025」において、ホワイトハウス関係者がトランプ大統領による暗号資産関連法案への署名が8月までに行われる見通しを明らかにした。
ステーブルコイン規制と市場構造の整備を目的とするこの法案は、米国デジタル資産政策の転換点として注目される。
ホワイトハウス、デジタル資産規制に前向き姿勢 トランプ政権の署名計画が示す政治的メッセージ
トランプ政権が進める暗号資産関連法案の署名計画が、ホワイトハウス「大統領デジタル資産諮問委員会(President’s Council of Advisers on Digital Assets)」のエグゼクティブ・ディレクターであるボー・ハインズ氏によって示された。
ハインズ氏は、2025年8月の議会休会前に法案がまとめられる可能性を示唆し、法案策定プロセスは進行中だが、成立には楽観的な見通しを持っていると述べた。
今回示された法案は、ステーブルコインの発行および管理ルールを規定するものと、暗号資産市場の構造を透明化し、投資家保護を強化する二本立てで構成される。
ハインズ氏はこれらの整備が、米国の金融インフラ強化につながるとの立場を強調している。
また同日、ハインズ氏はCoinDesk TVに出演し、トランプ氏およびその家族が一部暗号資産プロジェクトに関与しているとの指摘について回答した。
「米国大統領は、ミームコインを購入できるような存在ではない」と述べ、政治的な利益相反には当たらないとの見解を示した。
この発言は、トランプ政権下で暗号資産業界が公正に扱われる姿勢をアピールする狙いもあるとみられる。
トランプ政権の暗号資産法案が孕む二面性 規制強化の裏に漂う利益相反リスク
今回示されたトランプ政権の暗号資産関連法案には、いくつかの明確なメリットが存在する。
最大の利点は、ステーブルコイン規制と市場構造の透明化がセットで推進される点にある。
これにより、米国のデジタル資産市場における法的な不透明さが一定程度解消され、投資家保護の強化や信頼性向上が期待できる。
加えて、グローバルな視点で見れば、米国が主導的な規制フレームを整えることで、国際競争力を確保し、企業誘致にもつながる可能性がある。
一方で、政権の暗号資産業界への関与を巡っては、依然として政治的な疑念も残る。
とりわけ、トランプ氏本人やその周辺が暗号資産事業に関与していることは、マーケットの健全性や公平性に対する疑念を生む可能性も否定できない。
今回の法案が成立した場合、デジタル資産市場への影響は大きく、米国内外の暗号資産企業が米国市場を重視する流れが加速すると考えられる。
しかし、市場参加者の間では、政策の一貫性や透明性が問われる局面も増えることも予想されるため、法案の成立後も慎重な注視が必要になりそうだ。