香港アニモカ、米国上場を検討 トランプ政権の暗号資産政策が後押し

2024年5月13日、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたところによると、香港を拠点とするブロックチェーン企業アニモカ・ブランズが、米国ニューヨーク市場での上場を検討しているという。この動きは、ドナルド・トランプ氏の暗号資産に対する規制緩和方針を背景としており、米国の政策環境が企業の成長戦略を左右することが浮き彫りになっている。
暗号資産企業に追い風、トランプ政策が生む新たな上場機運
香港に本社を構えるアニモカ・ブランズは、米ニューヨーク市場での上場を計画していると報じられた。
2020年にオーストラリア証券取引所(ASX)から上場廃止となって以降、同社は急成長を遂げ、2022年には企業評価額が59億ドルに達した。
こうした実績を背景に、資本市場での信頼回復とグローバルなプレゼンス強化を狙い、再上場の道を模索している。
この計画の重要な要因とされているのが、米トランプ大統領による暗号資産への寛容な政策姿勢だ。トランプ氏は暗号資産を株式市場と同等の安定資産と捉え、成長を支援する立場を表明している。
これにより、米国内における規制リスクが後退し、Web3・ブロックチェーン企業にとって新たな事業拠点としての魅力が増している。
FTによると、アニモカ・ブランズの共同創設者ヤット・シウ氏は、現在複数の株式構成案を検討中であり、近く正式発表が行われる可能性があると語ったという。
グローバル展開の加速と市場環境の変化が生む可能性と課題
アニモカ・ブランズの米国上場が実現すれば、同社にとっては資金調達力の強化と信頼性の向上という二つの大きな利点が生まれる。
特に米国市場は機関投資家が多く、上場企業に対する分析も厳格であるため、上場によって得られる評価は他地域とは異なる重みを持つ。
一方で、米国市場への進出は、政治的変動による不確実性や、米証券取引委員会(SEC)による審査の厳格化といった新たな課題を伴う可能性も否定できない。
トランプ氏の規制緩和方針が今後も継続されるかどうかは不透明であり、企業としては短期的な期待だけでなく、中長期的なシナリオも描く必要があるだろう。