5月末にtofuNFTがサービス終了、NFTマーケットプレイス再編の現実

2025年5月13日、マルチチェーン対応を特徴とするNFTマーケットプレイス「tofuNFT」が公式Xにて、5月末をもってサービスを終了すると発表した。かつて盛況を誇ったNFT市場は現在、転換期を迎えており、プラットフォームの閉鎖が相次いでいる。
NFTブーム支えたtofuNFTが突如の幕引き
tofuNFTは、30以上のEVM互換ブロックチェーン(※)に対応し、特に2021年〜2022年にかけてのGameFiブーム期には、複数のブロックチェーンを跨ぐNFT取引を可能にする利便性で注目を集めた。Axie InfinityやThe Sandboxといった人気プロジェクトのNFTも多数取引され、急成長を遂げた背景がある。
今回の発表では、tofuNFT運営チームがユーザー、アーティスト、パートナーに対し、これまでの支援への感謝を述べる一方で、サービス終了の具体的理由には触れていない。
ただし「築き上げた実績を誇りに思う」としたうえで、「NFTの未来に希望を持っている」とコメントしており、市場への悲観一色ではないことを示唆している。
また、tofuNFTと連携していたOasysユーザーに対しては、今後の代替プラットフォームとして「X2Y2 Pro」の利用を推奨。Web3ゲームコミュニティへの影響を最小限に留める対応が取られている。
tofuNFTを運営するCOINJINJAは、2024年9月に国内Web3事業の再編を発表し、「X2Y2 Japan」を設立。当時はtofuNFTの存続を明言していたが、環境変化に対応しきれなかった格好だ。
※EVM互換ブロックチェーン:Ethereum Virtual Machineに準拠し、Ethereumと同様のスマートコントラクトが利用できるブロックチェーン。開発の容易さと相互運用性が利点とされる。
淘汰進むNFT市場、相次ぐサービス終了の背景と今後の展望
tofuNFTの終了は単体の出来事ではなく、NFTマーケットプレイス全体に広がる再編の流れの一端を示している。事実、2025年に入ってからも主要プレイヤーが次々と市場から姿を消している。
1月にはANAホールディングスグループが運営する「ANA GranWhale NFT MarketPlace」が、サービス開始からわずか1年で終了を発表。さらに4月には「X2Y2」本体が取引高の激減を理由に閉鎖されたほか、暗号資産取引所BybitのNFT部門も同時期にサービス提供を停止した。
背景には、NFT取引の減少だけでなく、ユーザーのエンゲージメントの低下や、イーサリアムを中心としたガス代高騰などの構造的課題がある。
加えて、短期的な投機ブームが一段落し、「ユースケースのあるNFT」への需要が移行する過程で、多くのマーケットが機能不全に陥っているのが現状だと考えられる。
今後は、NFTマーケットの淘汰がさらに進むと予測される一方で、真に価値あるユースケースや強固なコミュニティを持つプラットフォームに、資金とユーザーが集約されていく可能性もある。
単なる「取引の場」から脱却し、体験や実用性を重視した設計が求められていると言える。