次世代ライフシム『inZOI』、生成AIに関する声明を公開 商用利用可能なデータの活用を明示

2025年5月13日、韓国のKRAFTONが、次世代ライフシミュレーションゲーム『inZOI』で使用している生成AI技術の詳細とデータ運用方針を公開した。AI技術の透明性とその商用利用に対するスタンスを明確にした形だ。
商用利用可能なデータに基づくAI活用、『inZOI』が明かした開発の裏側
『inZOI』は、KRAFTONが2025年3月28日よりSteamで早期アクセスを開始したPC向けライフシミュレーションゲームだ。生成AI技術を活用した自由度の高いカスタマイズ機能とリアルな日常描写が特徴で、プレイヤーにより自由で多彩な体験を提供する。
開発チームは今回、AIに使用しているデータと技術の詳細を公開した。具体的には、2,000万枚の画像を学習させたText to Image技術、46,000点の社内3Dモデルを基にした3Dプリント用AI、さらに170万件以上のモーションデータを活用したVideo-to-Motion技術などが含まれる。
これらのデータはいずれも商用利用が可能なライセンスを有しており、Creative Commonsやオープンライセンスの条件を厳格に遵守していることが強調された。
また、KRAFTONはデータセットの選定においても、著作権リスクの排除を最優先としており、万一のトラブルには即座に対応する通報システムも整備しているという。
声明を発表した背景には、コミュニティ内で高まる生成AIへの関心と議論の存在がある。
特に、プレイヤーの間ではユーザーコンテンツやクリエイターの権利に対する不安が広がり、透明性の確保を求める声が強まっていたとみられる。
今後の展望
KRAFTONが示した技術的スタンスと透明性は、生成AIを巡るゲーム業界の新しい基準点となり得る。特に、商用利用におけるライセンスクリアなデータ運用は、開発現場における模範例として扱われるだろう。
『inZOI』の今後の展望として、より多様なAI機能が導入される可能性がある。ユーザーが自らコンテンツを生成できる環境づくりが整えば、AIと共に作るセカンドライフのような世界観が実現されるかもしれない。
一方で、生成AIの発展がもたらす課題も引き続き注視すべきだ。倫理的ガイドラインの策定や、他の開発会社への波及効果など、ビジネス面での影響も少なくない。この点について、KRAFTONがどこまでルール整備を進めるかが注目される。