電通ダイレクト、「AIショッピングキャスター」提供開始 生成AIでショッピング番組のキャストを作成

2025年5月12日、国内デジタル広告大手セプテーニホールディングスの子会社である電通ダイレクトは、グループ内の映像制作会社デライトチューブと連携し、生成AIを活用してインフォマーシャルなどショッピング番組のオリジナルキャストを作成する「AIショッピングキャスター」の提供を開始した。
インフォマーシャルの未来を変えるAIキャスター
「AIショッピングキャスター」は、生成AIを活用してショッピング番組向けのオリジナルキャストを創出するソリューションだ。
電通ダイレクトが培ってきたマーケティングノウハウと、デライトチューブの「FUKURO AI AVATAR」の生成AI技術の組み合わせによって成立している。
視聴者の興味やニーズに合わせて、より親しみやすく、商品理解を促進するキャラクターをAIが生成・登場させる。
AIキャスターは、従来のタレント起用型のショッピング番組と比べて、演出の自由度やコスト面において大きな優位性を持つ。
加えて、キャスターの表情や話し方、さらには服装までを視聴者層に合わせて最適化できるため、番組そのものの没入感や広告効果の向上が期待されている。
「AIショッピングキャスター」は、テレビCM、インフォマーシャル、Web動画、SNS、OOH広告などさまざまな媒体で使用できる。
300秒までのボディモデル撮影データの顔・声を生成AIに変換し、指定した形式で納品することが可能だ。
拡張される販促の可能性と市場競争の激化
AIショッピングキャスターがもたらす最大のメリットは、視聴者に対する訴求力のパーソナライズと制作コストの最適化にある。番組構成にAIを組み込むことで、ターゲットごとにコンテンツを変化させる柔軟性が生まれ、従来型メディアでは困難だった高度なエンゲージメント設計が可能となる。
特にZ世代など若年層へのアプローチ手法として期待される一方で、競合の広告代理店や映像制作会社も同様に生成AIの活用を模索しており、AI人材やクリエイティブAI基盤の確保を巡る競争が激化している。
AIキャスターの導入は単なる技術革新ではなく、広告業界における「視覚・音声によるUX(ユーザー体験)」の再構築にもつながるだろう。
今後、AIキャスターはショッピング番組に限らず、ライブ配信やバーチャルイベント、さらには越境EC領域への応用も考えられる。