高校生の生成AI認知率77% NTTドコモのモバイル社会研究所が最新調査を発表

2025年5月12日、NTTドコモの社会科学系の研究所であるモバイル社会研究所は、日本国内における生成AIの認知状況に関する調査結果を公表した。
調査によると、高校生の生成AI認知率が77%と最も高く、社会への急速な浸透ぶりが明らかになった。
高校生の認知率77%でトップ 生成AI浸透の実態
今回の調査は2025年2月、全国15歳から69歳の男女7,527人を対象にWeb調査で実施された。
ChatGPTの2022年11月リリース以降、GeminiやCopilotといった生成AIサービスの普及が加速してきたが、今回初めて職業や年齢層ごとの具体的な認知状況が示された。
調査結果によれば、生成AIを認知した時期は2023年と2024年が最多で、それぞれ36%を占めた。性別・年齢別では、全世代で男性の認知率が女性を上回り、特に2021年以前から2023年にかけて男性の認知が先行したことがわかる。
職業別では、ChatGPTリリース翌年の2023年が多くの職業で認知ピークとなったが、「パート・アルバイト」「高校生」「専業主婦・主夫」は1年遅れて2024年がピークだった。
中でも高校生は急速に認知を拡大し、77%と最も高い結果を示した。
次いで「専門学校生・短大生・大学生・大学院生」が74%、「教職員」が65%だった。一方、「専業主婦・主夫」は30%にとどまっている。
この結果は、デジタルネイティブ世代である高校生がSNSやオンラインコンテンツを通じて生成AI情報に接する機会が多いことを示唆している。
認知拡大が示す市場影響と今後の展望
モバイル社会研究所は、今後も生成AIの技術やサービスが人々の生活や意識に与えている影響について、調査・発信する方針を示している。
生成AIの利便性と課題の両面を的確に把握することが、持続的な社会実装の鍵になると言える。
また、高校生の生成AI認知率が77%に達したことは、教育と産業の両面で大きな転換点を示している。特に企業は、Z世代の消費行動や情報収集手段を踏まえたマーケティング戦略が求められるだろう。
生成AIの普及は教育格差の是正にも寄与する可能性がある。地方やリソースが不足している学校では、生成AIを活用することで、教員不足を補い、より質の高い教育を提供できるようになるかもしれない。
一方で、生成AIの活用には情報の信頼性や著作権問題といったリスクも伴う。
これらの課題に対応するため、文部科学省は2023年7月に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を公表し、教育現場での生成AIの活用方針を示した。
今後は、これらのガイドラインを基に、教育現場での生成AIの活用を進める必要があると考えられる。
今後、生成AIは高校教育の中核技術として位置づけられ、学習支援や教材作成、進路指導など多岐にわたる活用が進む可能性があるだろう。
特に、個別最適化された学習支援や、教員の業務負担軽減といった効果が期待される。