和解合意に達したリップルとSEC、XRP訴訟に終止符

米証券取引委員会(SEC)とリップル社の長期にわたる法廷闘争が、ついに和解合意に達し、2025年5月8日、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に共同申立書が提出された。
SECとリップル、XRPの証券問題で歩み寄り 5,000万ドル支払いと制裁金解除で合意へ
リップル社とSECの対立は2020年12月、SECがXRPを未登録証券として販売したとしてリップル社とその幹部を提訴したことから始まった。この訴訟は、仮想通貨が証券に該当するか否かという根幹的な論点を巡るものであり、仮想通貨業界全体に波紋を広げてきた。
2023年7月には、米ニューヨーク南部地区連邦地裁のアナリサ・トーレス判事が部分的な判決を下し、XRPの機関投資家向け販売は証券法違反(※)であると認定した一方、一般取引所での販売については証券に該当しないと判断した。
この判断を不服としたSECは控訴していたが、今回、両者は事態の収束を模索し、共同で和解申立書を提出した。
和解案では、リップルがSECに対して5,000万ドルを支払う一方、1億2,500万ドルにおよぶエスクロー制裁金の解除が盛り込まれている。また、これにより差し止め命令も終了する見込みだ。
米控訴裁判所は控訴審を一時停止し、SECに和解の進捗を報告するよう命じている。リップル側は、SECが控訴を取り下げる意向を示したと発表しており、最終的な承認はSEC内部の委員会による判断が待たれる状況だ。
※証券法違反:米国では証券(株式や債券など)の販売にはSECへの登録が必要。仮想通貨が証券と見なされる場合、同様の規制が適用される。
業界にポジティブな兆しか SEC新体制の動きとXRP価格の上昇に注目
今回の和解が最終的に成立すれば、XRPは「証券ではない」という判断が事実上確定する可能性があり、仮想通貨業界にとって画期的な法的前例となる。特に、米国内で仮想通貨ビジネスを展開する企業にとっては、今後の法的リスクや戦略に大きな影響を及ぼすだろう。
加えて、ビットコインが約3ヶ月ぶりに10万ドルを超えた影響もあり、XRP価格は前日比で8.5%上昇している。市場参加者は、規制の不透明性が緩和される兆しとして、このニュースもポジティブに捉えるのではないだろうか。
背景には、SEC新委員長ポール・アトキンスの存在もあると思われる。
彼は、従来のSECの強硬な姿勢に対し、より柔軟かつ現実的な規制アプローチを志向しており、仮想通貨を含むデジタル資産市場の健全な成長を支持する姿勢を見せている。これにより、今後は明確かつ一貫したルールメイキングへの期待が高まっている。
ただし、和解はSEC内部の承認を要するため、最終的な確定にはまだ時間を要する可能性がある。SECの動きとそれに伴う政策転換には、引き続き注視が必要だろう。